研究課題
胃癌でのEMT研究は世界的に立ち遅れている。我々は以前からスキルスと非スキルス胃癌の相違に着目している点で世界的に独創的で研究成果が難治癌治療へ全く新規の戦略のひとつになりうる。我々はこれまで胃癌の浸潤・転移におけるMMPの役割を明らかにし、MMP阻害の治療的応用可能性について報告してきた。また既に上皮間葉移行(Epithelial Mesenchymal Transi-tion: EMT)という新たな視点から消化器癌の研究を開始しており、昨年度の研究では胃癌細胞にEMT inducerのHOXB9を遺伝子導入し検討した。この細胞を用いて、EMTと浸潤転移能の関連を評価した。また大腸癌での検討で示唆される血管新生との関連に着目し、リンパ管新生を評価し分子標的治療の分子マーカーとしての臨床応用の可能性を探った。胃癌切除検体におけるEMTの組織学的検討では、EMT関連分子のHOXB9の発現と、癌胞巣の浸潤形態とを比較検討した。さらに臨床病理学的因子(T, N, M, ly, v, 予後など)との相関をみた。HOXB9の発現は、N、ly、vと有意な正の相関を認め、HOXB9がEMTを介して胃癌の悪性化に関与している可能性が示唆された。胃癌細胞でepithelialな形質が強いTMK-1についてはHOXB9を遺伝子導入してEMTを誘導し、逆にmesenchymalな形質の強い培養株はsiRNAによるknock downによりepithelialな形質への誘導を試み、その後の浸潤能の変化を検討している。In vivoではxenograftモデルで、浸潤転移能を評価したが、腫瘍の増大能が低く、実験条件のさらなる最適がが必要であった。今後、さらなる研究の推進により、胃癌の悪性化におけるEMTの関与を明らかにし、リンパ節転移の観点から治療応用を切り開ける可能性があると考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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