胃癌センチネルリンパ節生検を臨床応用し、機能温存根治手術の普及を図ることを目標に、後日の病理学的診断が可能で、かつ微小転移まで鋭敏に検出する、術中迅速リンパ節転移診断法を新規開発するのが本研究の目的である。その方法として、抗サイトケラチン抗体標識ナノビーズを用いた迅速ホールマウント免疫染色をリンパ節に施し、マイクロX-CTにて転移巣を画像化する試みを研究開発中である。 初年度は抗サイトケラチン抗体標識ナノビーズによるホールマウント免疫染色法の開発ならびにマイクロCTによる転移巣描出の試みを行った。ラットリンパ節転移モデルでは大きなリンパ節が得られないことから、まずはヒトから得られた新鮮リンパ節検体を対象として、抗体標識ナノビーズによるホールマウント染色に着手した。抗体標識ナノビーズはリンパ節にある程度浸透することが判明したが、しかしwash outが課題であり、現在適正な抗体濃度とリンス方法を検討開発中である。また、東芝ITコントロールシステム社にリンパ節を持ち込み、開発中のマイクロCT装置を使用してリンパ節転移巣の描出を試みた。リンパ節の内部構造を描出するためのX線の条件と3D構築の解像度の適正な条件を設定するために様々な検討を行ったが、まだ適切な条件設定には至っていない。現時点では論文発表に耐えうる研究成果は得られていない。当初の研究計画の推進と同時に、他のモダリティによる微小転移可視化が可能か否かも併せて検討中である。
|