胃癌センチネルリンパ節生検を臨床応用し、機能温存根治手術の普及を図ることを目標に、後日の病理学的診断が可能で、かつ微小転移まで鋭敏に検出する、術中迅速リンパ節転移診断法を新規開発するのが本研究の目的である。その方法として、抗サイトケラチン抗体標識ナノビーズを用いた迅速ホールマウント免疫染色をリンパ節に施し、マイクロX-CTにて転移巣を画像化する試みを研究した。 しかしこれまで2年の研究では、マイクロCTの解像度・抗体標識ナノビーズの組織浸透性・wash outの困難性から、ホールマウントの状態での微小転移巣画像化の目処は難しく、当初の研究計画は断念せざるを得なかった。 3年目は方針を転換し、マイクロCTでの画像化をあきらめ、多切片の断面における微小転移巣の可視化が光学的に可能か、の検証を行った。リンパ節を2mmスライスで多切片化し、蛍光検出カメラシステムの設定を一部変更し、得られた画像をPCで電子的に画像強調して微小転移巣の検出を試みた。切片上であればマイクロビーズは浸透しwach outも可能であったが、ノイズも強く、micrometastasis程度の転移巣の検出には目処が付いたが、それを下回るサイズの転移巣の検出は困難であった。術中迅速凍結切片の診断精度を上回る簡便な方法が確立する可能性は低くなり、研究は再度の方向転換を余儀なくされた。 現在は転移巣の簡便な検出を行うべく、Tissue rinsed liquid base cytology法との組み合わせによる、微小転移巣のliquid baseでの画像化に着手している。現在は、リンパ節を2mmスライスしliquid内で洗浄、この洗浄液を細胞診に提出するとともに、一部を抗体標識ナノビーズで処理、発光の程度で微小転移巣を迅速診断する試みを研究中である。
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