研究課題/領域番号 |
22591472
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研究機関 | 静岡県立静岡がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
寺島 雅典 静岡県立静岡がんセンター(研究所), 胃外科, 科部長 (40197794)
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研究分担者 |
望月 徹 静岡県立静岡がんセンター(研究所), 遺伝子診療研究部, 副所長兼部長 (00117780)
大島 敬一 静岡県立静岡がんセンター(研究所), 遺伝子診療研究部, 主任研究員 (10399587)
畠山 慶一 静岡県立静岡がんセンター(研究所), 遺伝子診療研究部, 研究員 (20564157)
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キーワード | 癌 / 遺伝子 / 外科 / 腫瘍マーカー / 転移 |
研究概要 |
進行胃癌20例を対象とした予備的な検討により、腹腔洗浄液からの癌細胞の検出が困難であったため、末梢血に対象を絞って研究を進めてきた。これまで約200例の胃癌症例から検体を採取し、候補遺伝子の発現をreal-time RT-PCRにて定量的に測定した。 初期の12例に関しては詳細な解析を進めており、ARHGDIBsv1,ALDOG4b,GFRA3sv2,XAF1sv3の4遺伝子の発現と臨床病理学的因子との関連について検討したが、未分化型癌においてXAFlsv3の発現が高く、深達度がT2以深の症例ではARHGDIBsv1の発現が高い傾向を認めた。また、リンパ節転移陽性、StageIII、IVの症例ではALDOG4bの発現が有意に高値であった。これらの結果から、これら遺伝子発現が胃癌において新たな転移予測マーカーとなる可能性が示唆された。 これとは別にmultiomics的なアプローチの一環としてCE-MS、LC-MSにより、胃癌組織におけるメタボローム解析も実施している。これまで27検体に関して解析を実施したところ、胃癌組織のメタボロームプロファイルは分化型癌と未分化型癌で大きく異なる結果が得られた。即ち、乳酸は、分化型癌>未分化型癌>非癌組織の順に高値を示したが、解糖系の代謝産物やATP、GTPは、分化型癌>非癌組織>未分化型癌の順で高値を示し、未分化型癌では分化型癌とは別な代謝経路が活性化していることが示唆された。これまで約120例の検体に関して測定が終了しており、今後更に解析を進める事により転移と関連する特異的なメタボロームプロファイルが同定される可能性が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定されていた腹腔洗浄液での解析は出来なかったが、末梢血からは順調に癌細胞を同定しする事が可能であり、各スプライシングバリアントの遺伝子発現解析も順調に進んでいる。また、新たな検討として開始した又ボローム解析も順調に進んでおり、癌組織の検討から今後は血液、尿の解析を行う予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
末梢血からのスプライシングバリアントの同定は、胃癌における新規転移予測マーカーの同定として大きな意義を有するものと思われる。更に症例を追加し臨床応用への可能性について検討する。 また、メタバオローム解析に関しても更に症例を追加すると共に、臨床応用の可能性を追求する目的で、血液や尿のメタボローム解析を実施(検体採取済み)し、新規転移予測マーカーの開発を検討する。
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