研究概要 |
腹膜微小転移の高精度の遺伝子診断を可能とするための新規遺伝子マーカーの探索については、cDNAマイクロアレイを用いた網羅的解析により、SPINK、 RegIV、 PKP3、 RBM35A、 SDC1などの新規遺伝子を同定、これら個々の遺伝子の予後予測能を確認すると同時に、従来からの臨床病理学的因子も加え、高精度に腹膜微小転移の有無を判定する統計モデルを構築した。腹膜転移再発を予見するこのモデルのROC curve解析を行い、モデルの構築に用いたデータセットではAUC=0.86に対し、新しいvalidation setにおけるAUC=0.77と良好な判別能を示した。 パクリタキセル腹腔内化学療法に対する感受性予測法の開発については、パクリタキセルの腹腔内化学療法に対して感受性を示す細胞株からマウス腹膜転移モデルを用いたin vivo selectionにより治療抵抗性を示す3種類の由来の異なる亜株を作成し、パクリタキセルに対する感受性・抵抗性に関連する遺伝子群の探索をマイクロアレイ(30K, Oparray)を用いた網羅的発現解析にて行った。発現差解析およびクラスター解析により親株と比較して、感受性細胞株あるいは抵抗性細胞株で2倍以上に高発現、あるいは1/2以下に低発現する共通の遺伝子を選別し、さらにqRT-PCR法により絞り込み、数10個の抵抗性候補遺伝子を同定した。また更なる遺伝子の絞り込みのために、パクリタキセル治療に対するresponder, nonresponder患者検体の収集を進めている。
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