研究課題/領域番号 |
22591473
|
研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
伊藤 誠二 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 研究員 (50393129)
|
キーワード | 癌 / 微小転移 / 抗癌剤感受性 |
研究概要 |
高精度の遺伝子診断を可能とするための新規遺伝子マーカーの探索については、昨年度までに、cDNAマイクロアレイを用いた網羅的解析により同定した新規遺伝子マーカーセットを用いて、より高精度に腹膜微小転移の有無を判定する統計モデルを構築してきた。この統計モデルについて、これまでに蓄積した検体とその臨床情報を用いてValidationを行い、その妥当性を検証した。 パクリタキセル腹腔内化学療法に対する感受性予測法の開発については、昨年度までにパクリタキセルの腹腔内化学療法に対して感受性を示す細胞株と抵抗性を示す胃がん細胞株の作成を行い、3種類の由来の異なる抵抗性株を作成、これらの細胞株の遺伝子発現をマイクロアレイを用いた網羅的解析により親株と比較、パクリタキセル感受性に相関し発現亢進する遺伝子を1次選別し、これらのうちqRT-PCRにより発現差を確認できた遺伝子群をさらにTTF(time to treatment failure)をもとにPTX高感受性群、低感受性群に二分した臨床検体(新鮮凍結切除材料)を用いてvalidationを行った。この結果、微小管関連遺伝子やEMT関連遺伝子など複数個の遺伝子をPTX抵抗性予測遺伝子として選別した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
バイオインフォマティックスの手法を用いた数十個の遺伝子セットからなる判別アルゴリズムについては、十分ではないが一定の症例数でvaHdationをおこない、現在、論文執筆中である。またパクリタキセル抵抗性関連遺伝子については複数の遺伝子を同定しており、今年度の目標は約70-80%達成した。しかし、パクリタキセル腹腔内化学療法については、当初、この期間中に臨床試験を開始する予定であったが、薬剤の保険適応の問題から、本年度中の着手は困難な状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は,さらに臨床症例におけるvalidationを進めると同時に、siRNAを用いて抵抗性株においてこれらパクリタキセル抵抗性遺伝子をノックダウンさせ,抵抗性が減弱するか否かを検証する機能解析もすすめる予定である。
|