研究課題/領域番号 |
22591474
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 友己 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任准教授 (70374238)
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研究分担者 |
山下 健一郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任准教授 (00399940)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 腸管免疫 / NFκB |
研究概要 |
我々はこれまでに、新規NF-κB阻害剤DHNEQ(Dehydroxymethylepoxyquinomicin)において、新規IBD治療薬として臨床応用への可能性を大いに期待させる結果を得ている。今後は、小動物、大動物を用いた毒性試験、薬物動態の解析を通じて臨床応用の準備を進める。一方で、更に効力の強い新規NF-κB阻害剤の開発を模索したところ、RAW264.7マクロファージに対する抗炎症効果を発揮する新規薬剤3-[(dodecylthiocarbonyl)methyl]glutarimide(DTCM-glutarimide)を得た。DTCM-glutarimideは、炎症性転写因子AP-1の核内移行を抑制することが分かっている。近年、IBD患者の腸管で、AP-1の持続的な活性化が確認されており、AP-1活性の抑制により、NF-κBと同様に炎症性連鎖反応をごく初期の段階で抑制し、より確実な抗炎症効果を得ることが可能であると考えられる。したがって、DHMEQに加えてDTCM-glutarimideの臨床応用を目指し、動物モデルにおけるDTCM.glutarimideの効果検討を行った。既にDSS誘発IBDモデルを用いた予備実験においては、DTCM-glutarimideの腸炎抑制効果を確認された。今後は、マウスTNBS誘発IBDモデル、DSS誘発IBDモデルにおいて、DTCM-glutarimide投与による大腸炎抑制効果を、臨床所見、局所所見、組織所見により比較する。また、分子生物学的、組織学的手法を用いて炎症の評価および抗炎症の機序を検討していく。更に、in vivo/in vitro studyにおいて生化学、分子生物学的手法を用い、分子レベルでの薬物作用機序を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた大動物実験は未施行の状態であるが、新規薬剤を用いた小動物実験において成果が期待できる為
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今後の研究の推進方策 |
DHMEQにおいては、小動物、大動物を用いた毒性試験、薬物動態の解析が今後の課題であり、今後施行を予定する。また、新規薬剤DTCM-Gを用いた研究においては、マウスTNBS誘発IBDモデル、DSS誘発IBDモデルにおいて、DTCM-G投与による大腸炎抑制効果を血便・下痢・体重減少といった臨床所見、局所所見、組織所見を比較する事で行う。作用機序の解明においては、組織学的手法および単離大腸粘膜免疫細胞の検討により、DTCM-Gの抗炎症ターゲットとなる免疫細胞を検討する。また、大腸粘膜におけるサイトカインの産生抑制効果を検討することで、抗炎症性作用の質的評価を行う。更に、in vivo/in vitro studyにおいて生化学、分子生物学的手法を用い、分子レベルでの薬物作用機序を検討する。小動物モデルにおいての、既存薬剤(5-ASA、ステロイド)との比較試験、小動物、大動物を用いた毒性試験、薬物動態の解析を通じて臨床応用の可能性を探る。
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