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2012 年度 実績報告書

大建中湯によるクローン病腸管再手術率低下を目指した基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22591475
研究機関旭川医科大学

研究代表者

河野 透  旭川医科大学, 医学部, 客員准教授 (60215192)

研究分担者 鈴木 達也  旭川医科大学, 大学病院, 医員 (40516415)
研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2013-03-31
キーワード大建中湯 / クローン病腸管 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / アドレノメデュリン / トランジェントレセプターポテンシャル / TNFα / ハイドロキシαサンショール / 6ショーガオール
研究概要

正常腸管での腸管血流制御には二つの内因性カルシトニンファミリーペプチド、主に神経細胞が産生するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)と主に腸管粘膜上皮細胞が産生するアドレノメデュリン(ADM)が重要な因子であると考えられている。
クローン病腸管では炎症、潰瘍により粘膜や神経組織に強い傷害が繰り返される。再生力が強い粘膜上皮細胞は1週間程度で回復するが、再生力の弱い神経組織の回復は通常月単位から年単位の長期に及ぶ。その結果、神経組織で産生されるCGRPは顕著に減少し、血流は正常値の半分程度まで落ち込んでいることを明らかにしてきた。これらの結果から神経再生を保持し、血流に配慮した新たなクローン病腸管手術を考案し、吻合部狭窄が防止できる可能性を明らかにした。
大建中湯は粘膜上皮細胞からのADMを分泌、産生を促し、CGRP減少に伴う血流低下を相補的に補うことで減少した腸管血流を正常化できることを明かにした。その作用機序として大建中湯の吸収成分であるハイドロキシαサンショールや6ショーガオールが腸管粘膜上皮細胞に発現するトランジェントレセプターポテンシャルTRPチャネルであるTRPA1を介してCa依存性のADM分泌を行っていることを明らかにしてきた。これまで、TRPチャネルが上皮細胞に発現している事は報告されていたが、その生理学的な意義に関しては不明であった。今回われわれはTRPチャネルがADM分泌に関与し、血流制御に寄与している可能性を初めて明らかにできた。さらに腸炎モデルでの検討から大建中湯はクローン病の病因論的関与が示唆されるTNFα、インターフェロンγ産生を特異的に抑制することを明らかにした。これらの結果からアメリカで臨床治験薬TU-100として認可され、クローン病に対する大建中湯の臨床治験が2011年9月から開始された。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Epithelial transient receptor potential ankyrin 1 (TRPA1)-dependent adrenomedullin upregulates blood flow in rat small intestine.2013

    • 著者名/発表者名
      Kono T, Kaneko A, Omiya Y, Ohbuchi K, Ohno N, Yamamoto M.
    • 雑誌名

      Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol.

      巻: 304 ページ: 428-36

    • DOI

      doi: 10.1152/ajpgi.00356.2012.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Crohn病の腸管病変に対する手術適応と術式の選択2013

    • 著者名/発表者名
      河野 透
    • 雑誌名

      消化器外科

      巻: 36 ページ: 65-76

  • [雑誌論文] Crohn病腸管手術の新たな標準術式となる可能性と現状:Kono-S吻合2012

    • 著者名/発表者名
      河野 透、岡本耕太郎、高後 裕
    • 雑誌名

      消化器内視鏡

      巻: 24 ページ: 251-257

  • [雑誌論文] 腸管血流からみた大建中湯の役割 アメリカ臨床治験薬TU-100になった理由2012

    • 著者名/発表者名
      河野 透、上園 保仁
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 241 ページ: 163-169

  • [雑誌論文] 達人こだわりの手術テクニック2012

    • 著者名/発表者名
      河野 透、高後 裕 、アレサンドロフィケラ、大毛宏喜、坂井義治、前田耕太郎
    • 雑誌名

      手術

      巻: 65 ページ: 1355-1360

  • [雑誌論文] 炎症性腸疾患における機能温存手術の適応と限界2012

    • 著者名/発表者名
      河野 透 海老澤良昭、千里直之、北川真吾、古川博之
    • 雑誌名

      北海道外科雑誌

      巻: 57 ページ: 20-25

  • [学会発表] Intraluminal TRPA1 agonists: an effective means to increase intestinal blood flow

    • 著者名/発表者名
      Kono T, Omiya Y, Kaneko A, Yamamoto M
    • 学会等名
      全米消化器病週間2012
    • 発表場所
      サンディエゴ(アメリカ合衆国)
  • [学会発表] Amelioration of 5-fluorouracil-induced oral mucositis in hamsters by TJ-14 (Hangeshashinto), inhibitor of inducible prostaglandin E2 and proinflammatory cytokine

    • 著者名/発表者名
      Kono T, Kaneko A, Matsumoto C, Hibino T, Shigenobu T, Fukutake M, Uezono Y
    • 学会等名
      全米消化器病週間2012
    • 発表場所
      サンディエゴ(アメリカ合衆国)
  • [図書] 炎症性腸疾患の外科治療2013

    • 著者名/発表者名
      河野 透、前田耕太郎、坂井義治、大毛宏喜、Alessandro Fichera
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      メジカルビュー社
  • [図書] クローン病の診療ガイド2012

    • 著者名/発表者名
      河野 透
    • 総ページ数
      120
    • 出版者
      NPO法人日本炎症性腸疾患協会

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公開日: 2014-07-24  

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