研究概要 |
1.IAPファミリーの発現抑制による5-FUを含めた抗がん剤感受性の変化の検討 私たちはこれまで、大腸癌細胞においてcIAP2をsiRNAにより発現抑制することで、5-FUの感受性を高められることを報告した(Cancer Sci. 2009 May;100(5):903-13)。また研究代表者らは2010年に、5-FUを含むフッ化ピリミジン製剤が胃癌・大腸癌の中心的役割を担っていることを総説した(Kinouchi M, ほか Cancers (ISSN: 2072-6694), Special Issue: Cell Death and Cancer; MDPI Publishing 2010 Vol. 2, 1717-1730)。私たちのグループは、フッ化ピリミジン製剤の中でも特にS-1に着目している(Expert Opin Drug Deliv. 2012 Mar;9(3):273-86.)。 2.ホルマリン固定標本を用いたタンパク質発現・アポトーシス解析 大腸癌外科切除標本のホルマリン固定標本を用いて、cIAP2 (抗体: ab32059)、XIAP (ab21278)、cIAP1などについて免疫組織化学的手法にて解析を行っている。同一症例内の癌部と非癌部の染色様式に一定の法則を見出してはいないが、癌部では非癌部よりも染色の強い傾向は明らかで、また進行癌においてcIAP2、XIAPともに染色の強い結果が得られている。また各症例において、先に行ったmRNAレベルの発現量とは相関がある。さらに、ヌードマウスを用いたヒト大腸癌皮下移植腫瘍モデルにおいて、5-FU投与群と非投与群でアポトーシスの有無をTunnel法で解析、5-FU投与群でアポトーシスを来している細胞が多い傾向にあることを観察した。
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