研究課題/領域番号 |
22591484
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田中 光司 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (10345986)
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研究分担者 |
井上 靖浩 三重大学, 医学部付属病院, 講師 (20324535)
三木 誓雄 三重大学, 大学院・医学系研究科, 客員教授 (50242962)
楠 正人 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50192026)
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キーワード | 大腸癌 / 癌幹細胞 / 上皮間葉移行 / 二光子レーザー顕微鏡 |
研究概要 |
平成23年度は、直腸癌切除標本を用いた遺残癌細胞と間質細胞の遺伝子発現の検討により、化学放射線療法に抵抗性を示した癌細胞(癌幹細胞の存在が示唆される)の分子生物的検討を行い報告した(Tanaka K et al.J Surg Oncol.2011)。また、化学放射線療法後の間質細胞中cancer associated fibroblastsの分子生物学的検討を行い報告した(Saigusa S et al.Int J Oncol.2011)。さらに、放射線抵抗性大腸癌細胞のCD133およびCD44発現をin vitroで検討し、術前化学放射線療法を受けた直腸癌患者におけるそれらの発現の意義を報告した(Kawamoto A et al.Experimental and Therapeutic Medicine.2012)。これらの結果は国内外の関連学会でも精力的に発表してきた(Tanaka K, et al.2011 AACR annual meeting, Tanaka K, et al.2011 ASCO annual meeting)。 GFP標識ヌードマウスの脾臓にRFP標識大腸癌細胞株を接種し大腸癌肝転移モデルを作成。二光子レーザー顕微鏡下生体内観察法にて、癌細胞が肝類洞からDisse腔へ形態変化(紡錘形)と伴いながら浸潤する像を捉えた。このRFP標識大腸癌細胞株を用いて、5-FUや放射線の長期、頻回暴露による抵抗性クローンの作成し、その後大腸癌肝転移モデルを用いて、治療抵抗性(放射線や抗癌剤)癌細胞(癌幹細胞の存在が示唆される)の転移巣での形態学的変化の有無を評価中である。 我々はin vitroにおいて放射線照射がヒト大腸癌細胞株の上皮間葉移行を誘導することも報告しており(Kawamoto A et al.Oncol Rep.2012)、今後、大腸癌肝転移巣における癌幹細胞振る舞いや癌幹細胞の上皮間葉移行の関与を形態学的および分子生物学的に検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体を用いた検討は、国内外の学会発表や論文発表を含め、おおむね順調に進展している。一方、細胞株を用いた基礎研究では、大腸癌幹細胞を特異的表面抗原から分離する方法論とその手技の確立に難渋している。
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今後の研究の推進方策 |
細胞株を用いた基礎研究の遂行にあたり、大腸癌幹細胞を特異的表面抗原から分離する方法論とその手技の確立に難渋している。そのため、癌幹細胞の存在が理論的にも経験的にも示唆される治療抵抗性癌細胞を用いた上皮間葉移行と転移との関連を検討している。放射線照射だけでなく、抗癌剤暴露によって治療抵抗性クローンを作成し、その分子生物学的、形態学的特徴と転移能との関連を二光子レーザー顕微鏡にて生体内観察し可視化していく。
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