まずマウス大腸癌細胞株CT-26のGFP導入株、およびヒト大腸癌細胞株HCA7のGFP導入株により、直腸接種傍大動脈リンパ節転移モデルの作成を行った。このリンパ節転移モデルを用い、オリンパス社製の接触型超拡大内視鏡Endocytoscopy Systemを用いてリンパ節表面の観察を行った。内視鏡径は3.2mmで、傍大動脈リンパ節の平均径が2.0mmと小さく、内視鏡を接触させての観察は技術的に困難であった。次に、2つの細胞株を用いて、新たに盲腸接種間膜リンパ節転移モデルを作成した。腸間膜リンパ節は正常でも数mm以上の大きさがあり、内視鏡での観察が可能であった。新たな転移モデルを用いて、転移リンパ節の観察を行った。転移リンパ節をメチレンブルーにより染色すると、表層2~3層の細胞核が濃染されることが観察されたが、観察深度が30μm程度であるため、リンパ節の辺緑に生じうる形態学的変化をとらえることはできず、正確なリンパ節転移診断は困難であった。また現在大腸がんリンパ節転移に関与するケモカイン受容体CXCR3の発現をTet-on/offで誘導できるプラスミドをつかって、DLD-1大腸癌細胞株への導入を行い安定株を樹立した。一方、CXCR3の発現をinducible siRNAの導入にてコントロールできるようshRNA発現ベクターを用いたTet-regulated shRNAを大腸癌細胞株Colo205に導入して安定株の樹立に現在取り組んでいる。今後はにれらの細胞株をつかってCXCR3が大腸癌リンパ節転移の微小転移形成、転移巣増大過程、遠隔転移のどのステップに関与しているか、検討する予定である。
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