研究概要 |
【目的】Bacterial translocation (BT)下のTight junction (TJ)傷害のメカニズムの検討を目的とし、CPT11投与による腸管ストレスモデルにてapoptosisなどを惹起するTNFα・NF-κB経路の検討を行う。さらに絶食ストレスによる腸内細菌叢の変化をTerminal Restriction Fragment Length Polymerase (T-RFLP)法を用いて評価する。 【方法】検討1:CPT11投与モデルにおけるTJ傷害・TNFα・NF-κB経路との関係Wster系ラットにCPT-11を150,250mg/kgを腹腔内投与(0,24時間)し、24時間後に犠死させ、腸間膜リンパ節を培養、BTを確認した。Ussing chamberを用いて大腸の電気抵抗を測定、TNFα、IL-1、IFN-γ、IL12のmRNAをRT-PCRにて測定した。Westem blot法、RT-PCRでTight junctionの変化(Claudin-1,Occlusin-1,ZO-1)を検討した。検討2:絶食ストレス下の腸内細菌叢の変化5日間の絶食モデルにて便を採取し、腸内細菌叢の変化を、T-RFLP法を用い絶食前後で比較検討した。 【結果】検討1:腸間膜リンパ節を培養にて大腸菌が検出され、BT発症が確認され、TNFαをはじめ、IL-1、IFN-γ、IL12の全てのinflammatory cytokineの上昇が認められ、大腸電気抵抗が低下した。ZO-1は変化なかったが、Claudin-1,Occkudinは低下していた。検討2:絶食前はLactobacillaceaeなど多様な細菌が存在していたが、絶食後はErysipelotrichaceaeが90%程度を占め、著しく多様性が失われていた。 【結論】BT下ではTNFαが上昇していること確認され、TNFα・NF-κB経路がTJ傷害を惹起している可能性が高い。腸内細菌叢の多様性消失が確認され、今後、TJ傷害との関連を検討する。
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