研究課題/領域番号 |
22591489
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
栗田 信浩 徳島大学, 病院, 特任教授 (30335814)
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研究分担者 |
高橋 章 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90304047)
桑原 知巳 香川大学, 医学部, 教授 (60263810)
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キーワード | バクテリアルトランスロケーション / タイトジャンクション / パラセルラールート / トールライクレセプター / 腸内細菌叢 / CPT11 / TNFα / NFκB |
研究概要 |
【目的】Bacterial translocation (BT)の病態解明を目的として、CPT11投与ラットモデルを用い、Tight junction (TJ)傷害によるparacellular route傷害を中心に、炎症性cytokineを介し、apotosisに至るTNFα・NF-kB経路、自然免疫系のToll-like receptror (TLR)や腸内細菌叢の変化を評価する。 【方法】検討1:TJ傷害・TNFα・NF-kB経路の検討Wister系ラットにCPT-11 250mg/kgを腹腔内投与(0,24時間)してBTを誘導し、24時間後に犠死させ、TNFα、NF-kB、IL-1b、IL-6、caspase3 TLR4 mRNA発現をRT-PCRにて測定し、TUNNEL染色で上皮細胞のapoptosisを検討した。RT-PCR、Western blot法、RT-PCRにてTight junction protein (Claudin-1, Occlusin-1, ZO-1)の変化を検討した。検討2:CPT11投与後の腸内細菌叢の変化をTerminal Restriction Fragment Length Polymerase (T-RFLP法)を用いて検討した。 【結果】検討1:TNFα、NFk-B、IL-1b、IL-6など全ての炎症性cytokine mRNAの上昇が認められ、さらにcaspase3、TLR4 mRNA発現が上昇し、TUNNEL染色からもapotosisが確認されたた。Claudin-1、Occludin mRNA発現、タンパク発現とも低下し、ZO-1は変化なかった。検討2:CPT11投与後は、Lactobacilales減少、腸粘液の主成分であるムチンを分解するグラム陰性菌Akkermansiaが増加した。 【結論】BT下ではTLR4が発現してTNFα・NF-kB経路が作用し、apotosisが惹起され、腸内細菌叢の変化からも粘膜傷害を来している可能性がある。今後、これらの予防法について検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で最も重要な経路であるTNFα・NF-kB経路の検討が想定通りに進み、Claudin-1、Occludin、ZO-1 mRNA発現、タンパク発現などTight junction (TJ)傷害の検討も順調に推移している。これらの基本的な項目に加え、炎症性cytokine、apoptosis、自然免疫系のToll-like receptror 4 (TLR)の結果が出ている。また、腸内細菌叢の検討も開始しており、検討結果が揃いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
Toll-like receptor4などの追加の検討を要する他、常在細菌叢に関するデータをより詳しく解析する必要がある。これらの結果に加え、腸管粘膜微小循環に関与するcalcitonin gene-reralted peptide (CGRP)などを予定通り検討し、BT病態と新たな治療targetを明らかにし、予防法の検討治療薬としてのGherelin、Epidermal growth factor、Growth hormone、adrenomedullinなどの評価を追加する。
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