研究課題/領域番号 |
22591491
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
藤井 久男 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (40156823)
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研究分担者 |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00033358)
松吉 ひろ子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10448772)
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キーワード | 5-HT4受容体 / 飲水投与 / 局所投与 / 直腸切離吻合術 / 神経幹細胞 |
研究概要 |
本年度は、5-HT_4受容体刺激薬、クエン酸モサプリドの腸管神経再生・新生作用を調べるために、腸管切離吻合モデルでクエン酸モサプリドの局所投与や飲水による全身性投与による壁内神経系再生・新生促進作用とそのメカニズムの解明を生理機能解析や免疫組織化学的評価法を用いて行った。クエン酸モサプリドの神経再生・新生作用を消化器外科の臨床現場、高齢者や糖尿病・脊損患者に適応して、排便障害や排尿障害を改善できるようにするためには、その前に臨床治験研究が必須であるが、その前に動物実験として飲水による全身性投与の効果を検討することが必要である。飲水中のクエン酸モサプリドの濃度は100μMで50μl/day(人の一日投与量の3倍にあたる)の割合で飲ませた。腸管切離吻合モデルラットでは神経の再生・新生を免疫染色で調べるために、術後1-2-4週間後に摘出してホールマウント標本をつくり固定後、NF抗体、nNOS(NO神経マーカー)抗体、ChAT(コリン作動性神経)抗体などで免疫組織化学反応を行わせ、共焦点顕微鏡下で確認した。さらに、吻合部の肉芽組織の切片を作成し、NF(神経マーカー)抗体、PCNA(細胞増殖マーカー)抗体、DLX2(神経幹細胞マーカー)抗体と5-HT4受容体抗体を染色し、局所投与と同様に飲水による全身性投与でも効果があることを見いだした。神経幹細胞がどこから由来するかを検討するために、スポンゼルを皮下に植え込み移動してきた細胞の免疫染色(PCNA,DLX2,c-RET,SR4)とRT-PCRを行い、神経堤由来の神経幹細胞が吻合部に動員されてくる可能性を示唆した。モルモットでは飲水による全身性投与の効果を調べるために生理機能測定を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究実績の概要に述べた成果は、American Journal Physiology Gastrointestinal Physiology 302:G588-G597,2012(doi:10.1152/ajpgi.00284-2011)に掲載された。したがって、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は今検討中のモルモットにおけるクエン酸モサプリドの飲水による全身性投与の効果を調べるために生理機能測定を実施する。再生・新生壁内神経の機能を調べるのはこの方法が最適である。 ホールマウント標本や吻合部切片の免疫染色はこれまで通り行う。直腸切離吻合モデル以外の病態モデルとして、ヒルシュスプルング病類縁疾患モデルマウスを使用する。これらの結果を基に作用メカニズムについても考察する予定である。
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