研究課題/領域番号 |
22591496
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
辻本 洋行 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (20521272)
|
研究分担者 |
萩原 明郎 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (90198648)
|
キーワード | 再生医学 / 消化管再生 / 羊膜 / 幹細胞 |
研究概要 |
意義と目的:我々は、食物の消化・吸収と蠕動機能を持つ全周性腸管の再生を困難にしてきた原因のうち1)再生腸管の癩痕化、2)腸管平滑筋再生不良、の問題を克服し、全周性食道の再生に成功した。本研究はこれを発展し、前述の腸管再生を困難にしている最大の問題である3)腸管上皮の再生に対し、組織・細胞再生能や多分化能を持つ羊膜や羊膜幹細胞を用いて、消化・吸収と蠕動能を持つ全周性腸管の再生を培養上および動物モデル(ラット)において行うことである。 方法:I.in vitroにて羊膜上で、i)腸上皮細胞-(腸上皮下)筋線維芽細胞、ii)腸上皮細胞-羊膜間葉系幹細胞幹細胞、ii)羊膜上皮幹細胞-筋線維芽細胞、を供培養しその状態を観察する。II.前述の供培養に平滑筋細胞を加えた筒状の細胞シートをラットの腹腔内にて熟成後、小腸と吻合し作製した腸管の再生の状態を観察する。 結果:前年度より羊膜の入手が遅れていたこと、羊膜幹細胞の入手が困難になったこと、また羊膜上皮細胞は長期培養が困難であったことより、(1)腸上皮細胞-暢上皮下)筋線維芽細胞(上記IiDおよび(2)腸上皮細胞-羊膜間葉系細胞の共培養の観察を中心に行うこととした。しかしながら、腸上皮の維持・培養は通常では非常に困難であることから、コラーゲンゲルによる3次元培養法を用いても共培養を行うこととし、また腸上皮細胞の単離の際には、筋線維芽細胞やその他の細胞の混入が避けられないため、培養腸上皮(IEC-6)細胞を用いても共培養を行った。結果、筋線維芽細胞との長期培養にて培養腸上皮細胞が多層構造や立方体様形態をとる事を観察した。また羊膜間葉系細胞を単離培養し、前述の培養腸上皮細胞と共培養を行ったところ、やはり多層構造等の変化を確認した。その後、羊膜を入手可能となり、腸上皮と筋線維芽細胞との共培養や腸上皮を含む組織片(organoid)培養を現在も継続して行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度より1)羊膜の入手が遅れていた(羊膜の提供元である再生医療支援機構がJSTTの承認認定を得るため)2)羊膜幹細胞の入手が困難となった(供給元を予定していた生物資源応用研究所の共同研究者の退任のため3)羊膜上皮細胞の継代維持が困難(数代(3-5代)で増殖が止まり継代培養が困難)4)腸上被細胞の単離、培養維持、同定が困難
|
今後の研究の推進方策 |
上述の1)については、23年度途中より羊膜を入手可能となり、現在も継続実験中である。2)3)に対しては、羊膜間葉系細胞を用いて、腸上皮細胞との共培養を行い観察を行うこととした4)についてはコラーゲンゲルによる3次元培養法や、培養腸上皮(IEC-6)細胞を用いて共培養を行うこととした。
|