研究課題
意義と目的:我々は食物の消化・吸収と蠕動機能を持つ全周性腸管の再生を困難にしている1)再生腸管の瘢痕化2)腸管平滑筋再生不良の問題を克服し、消化・吸収を行う腸管ではないが蠕動能を持ち瘢痕狭窄が無い全周性食道の再生に成功した。本研究はこれを発展し、前述の腸管の再生を困難にしている最大の問題の3)腸管上皮の再生に取り組むため、優れた組織・細胞再生能や多分化能を持つ羊膜や羊膜幹細胞を用いて、その培養上の観察や動物モデルにて前述の腸管の再生実験を行う。方法:I.in vitro実験 羊膜上やコラーゲンゲル上で①腸上皮細胞単独、或いは①と②腸上皮下筋線維芽細胞や③羊膜幹細胞を供培養しその状態を観察する。対象として株化された培養腸上皮(IEC-6)細胞を用いて同様の実験観察を行う。II.in vivo実験 前述の腸上皮細胞の羊膜上培養や供培養に、平滑筋細胞を加えた筒状の細胞シートを、ラット腹腔内で大網に包埋することで作製した腸管の組織再生の状態を観察する。結果:前年に引き続き実験を行い以下の結果を得た。I.1)単離腸上皮細胞は、羊膜上にて1週程度培養可能であり、一部に細胞の立方化や重層化を認めた。2)単離腸上皮細胞は、コラーゲンゲル上では培養出来なかったが、前述の細胞との供培養により、1週程度培養可能であった。3)株化腸上皮細胞は、羊膜上やコラーゲンゲルでの共培養により、3週間以上維持培養が可能で、細胞の立方化や重層化を認めた。羊膜の含有成分や腸上皮下筋線維芽細胞や羊膜幹細胞の分泌する液性成分が、腸上皮細胞の増殖や分化を誘導促進すると考えられた。II.前述の腸上皮細胞の羊膜上の単培養や供培養に、平滑筋細胞を加えラットの大網に包埋し、5週間後にその再生腸管の観察を行った。一部に平滑筋様組織の再生を認めたが、腸上皮組織の再生は認められなかった。さらに技術的な改良が必要と考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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