研究課題
【背景】家族性大腸腺腫症に類似した多発大腸ポリープを特徴とする遺伝性大腸癌として、塩基除去修復遺伝子の一つであるMYHを原因遺伝子とするMAP(MYH associated polyposis)の存在が明らかとなってきた。両アレルの生殖細胞系列変異はAPC、KRASのG:C→T:A変異を誘導する。これまで、MYH変異の大腸発癌における関与を詳細に研究した報告は殆どない。【方法】当院で手術した連続した101症例の散在性大腸癌におけるMYH遺伝子のvariant(exon 2, exon 10, exon 11, exon12の病的変異の可能性を有するvariant)、染色体1pのMYH遺伝子内(exon 12)のLOH、およびKRASの点突然変異を検索した。【結果】検索でみられた変異は何れも癌特異的な変異ではなく、SNPであった。2症例でexon 2上にP18LとG25Dの変異を同時に認めたが、同一アレル上の変異であることが確認された。又1例にR19*を認めた。Exon 11でIVS10 AS -2 A/G)を7症例で認めた。Exon 12ではQ335Hを52症例に認めた。Cアレル頻度は大腸癌患者で明らかに高いことが解った(p = 0.009)。これらinformative caseで12症例にLOHを認めた。KRAS変異は13例に認めたがG/T変異は1例のみであった。【考察】大腸癌の易罹患性へ,exon12のcodon353のCアレルが関与している可能性が示唆された。又大腸発癌にMYHのLOHが関与している可能性が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Oncol. Rep.
巻: 28 ページ: 473-480