研究概要 |
免疫不全マウス(NOGマウス)に対して四塩化炭素(CCl4)の腹腔内投与を行い、肝障害モデルおよび慢性肝障害も出るの作成を行った。 具体的には、0.5, 1.0, 1.5ml/kgのCCl4単回投与を行い、マウス急性肝障害モデルを作成した。いずれのマウスも早期に肝障害を認めるものの、1ヶ月後には回復し、CCl4投与量と肝障害の程度は相関しないことが判った。また、死亡マウスは認めなかったため、1.5ml/kgを急性肝障害モデルの投与量として設定した。急性肝障害モデルマウスの尾静脈よりGFP陽性NOGマウスの骨髄細胞を移植すると、少量ながら肝臓内でのGFP陽性細胞を認め、肝細胞への分化が確認された。骨髄細胞移植群と非移植群では若干移植群での体重増加が多い傾向にあったが、肝機能などのパラメーターでは両者に差を認めなかった。 次いで、NOGマウスにおける門脈塞栓モデルの作成を行った。実際にはマウスの門脈を塞栓することは困難であり、マウスの左葉・中葉への門脈枝を胆管、動脈より分離し、結紮することで門脈結紮モデルの作成を試みた。最終的にこのモデルマウスの作成に成功し、結紮後4週時での結紮肝の萎縮ならびに非結紮肝の増大を確認することができた。このモデルに対して骨髄細胞の移植を行う予定であったが、時間的制約があり、未施行である。 多種多様な幹細胞の集まりの骨髄中の間葉系幹細胞は胚葉を超えて内胚葉や外胚葉への分化が報告されているが、骨髄細胞内にはmuse細胞(Multilineage-differentiating Stress Enduring Cell)と呼ばれる多能性幹細胞が存在していることが、東北大学 細胞組織学分野 出澤らによって報告されており、骨髄細胞の肝細胞への分化のメカニズムについてはmuse細胞が肝細胞・肝組織に分化した可能性について今後の研究課題とした。
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