研究概要 |
胆管細胞癌細胞株3種類(HuH-28, TFK-1, HuCCT1)の細胞培養とFACSい、表面マーカーのうちTRAILの発現(DcR-1, DcR-2, DR4, DR5)を解析した。TFK-1は4つの表面マーカーの発現が減弱していたが、HuCCT1ではDcR-1、DcR-2の発現が弱い一方で、DR4、DR5の発現が比較的増強発現していた。HuH-28は、DcR-1、DcR-2、DR4、DR54つのマーカーが比較的増強していた。よって同じ胆管細胞癌株においてのTRAILのサブタイプの発現形態が異なっていた。 広島大学先進医療開発科学講座外科学で経験した胆管細胞癌(肝内胆管癌)37症例を対象に各種表面抗原の免疫染色を行った。先ずNK細胞の標的としてTRAIL receptorの表出を検討、Death receptor (DR)-4、-5の臨床検体の発現はそれぞれ約94%14%であった。以前、肝細胞癌の臨床検体における当科での結果はDR-4、-5の発現が同等に発現しており、同じ原発性肝癌でもDRの発現が異なることが判明した。各種粘液染色(MUC1、MUC2、MUC5、MUC6、pS2、CD10、HGM)の結果はそれぞれ88.9%、16.7%、61.1%、55.6%、80.6%、55.6%、66.7%であった。臨床検体の検討から、胆管細胞癌の予後、悪性度に相関を示すMUC1、MUC5をNK細胞療法のもう一つの標的できることが確認できた。 胆管細胞癌細胞株2種類(TFK-1,HuCCT1)に対して、広島大学先進医療開発科学講座外科学での生体肝移植手術症例から得られた肝臓内(グラフト内)NK細胞に対する細胞障害試験を行った。どちらの細胞株においても濃度依存性にNK細胞による細胞障害性が確認できた。ただしNK細胞による細胞障害性の程度はHuCCT1に強く、細胞株によってNK細胞の障害性(抗腫瘍性)が異なることが判明した。
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