研究課題
本研究の目的は、膵癌肝転移の制御のため、抗癌剤をナノバブルに内包の上、投与し、腫瘍血管の径に応じたドラッグデリバリー効果が得られるか検討するものであり、そして体外式超音波発生装置にてナノバブルを局所的に破壊することでより強い抗腫瘍効果が期待できるか検討するものである。この目的に際し、まずわれわれはマウスに腫瘍細胞を肝臓に移植した肝転移モデルを作成し、ナノバブル造影剤で移植早期に肝臓の造影効果が得られるかどうかを検討した。既に臨床応用されているマイクロバブル造影剤(ソナゾイド)と比較したところ、造影の早期の退縮が見られたものの、ソナゾイドと同様の肝臓造影効果が認められた(投稿中)。また、小動物用の高周波超音波機器(VEVO770 system)の有効性を評価するために、基礎実験として糖尿病マウス腎被膜下に異種(ラット)の膵島を移植し、移植した膵島の拒絶性変化がこの機器で確認できるかを検討したところ、移植膵島は拒絶反応のため移植後7日までに低エコー像を示し、移植後14日以降に消失がみられ、28日で完全に消失していた。超音波のみならず、摘出腎での所見、病理組織検査の所見でも移植後7日までの移植部位の血腫様変化と移植後14 日以降の膵島の消失が認められた。血糖値は移植後7日までの一過性の低下と14日以降の再上昇が、Cペプチド値は一過性の上昇とその後の低下がそれぞれ認められた。移植片の容積は移植後3日から7日にかけて一過性に上昇し、14日以降は著明に低下した。異種膵島は拒絶反応により、移植後7日までに破壊が進んで液状の変化を呈し、14日以降は破壊された膵島が吸収され消失するという一連の変化が高周波超音波検査で捕えることが可能であった。以上の結果により移植後の膵島の状態を超音波検査で評価できることが示された。更に膵臓特異的に造影可能なナノバブル造影剤を開発中である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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