研究概要 |
本研究は,「肝臓から膵臓への細胞リプログラミング課程においては,正常膵発生過程と同様に膵内・外分泌細胞の分化が混在した環境を構築することにより,その効率を上昇せしめ,更にその獲得形質を維持することができる」という作業仮説に基づき,下記A.~C.に基づき検証する. A.初代培養肝細胞への膵臓内・外分泌前駆細胞特異的転写因子の遺伝子導入実験 B.膵臓内・外分泌細胞分化誘導系を用いた共培養系の解析 C.Partial pancreatecto mymodelを用いた,in vivoでの検討 膵臓発生特異的転写因子Pdx1,Ngn3及びMafAを発現するプラスミドを作成し,初代培養肝細胞及び尾静注法によるhydrodynamic gene delivery techniqueを用い,in vitro及びin vivoでの異所性遺伝子発現解析を行った.結果,上記3遺伝子共発現系は2遺伝子発現系に比し内因性インスリン遺伝子発現亢進せしめることを確認した.現段階で用いている非ウイルス性遺伝子導入手法では特にin vivoにおいての異所性遺伝子発現を長期維持することが困難であったため,新規に肝特異的プロモーター下流での発現プラスミドを構築し,異所性遺伝子発現の長期維持を獲得した.現在同プラスミドを用いた解析を推進中である. また,これとは別に,膵臓外分泌細胞への分化に必須とされる転写因子Ptflaを用いて,同転写因子異所性発現肝細胞を構築し,膵外分泌細胞への分化誘導性を検証している.両系の個別の検討が終了した段階で,内・外分泌分化誘導系細胞を共培養し,正常膵臓発生過程において確認されるような内・外分泌前駆細胞間相互作用の発現がみられるか,またcell reprogramming効率の上昇に寄与しうるかを検証する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究成果をふまえ、肝特異的プロモーター下流発現プラスミドを用い,mouse partial pancreatectomy modelを用いて,糖尿病状態のマウスにおける血糖値改善効果を検証する.同時に,膵臓外分泌細胞への分化に必須とされる転写因子Ptf1a発現プラスミドを用いた膵外分泌細胞分化誘導系を用い,内・外分泌前駆細胞間相互作用のliver-to-pancreas reprogrammingへの影響を検証する.
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