研究概要 |
膵癌における膵内分泌系progenitor gene (Pdx1, Ngn3, NeuroD1, Mafaなど)の発現意義と癌幹細胞との関連性を検討するために,本年度は、膵内分泌系転写因子の一つであるPdx1の発現を術前無治療の膵管癌16症例を対象として,免疫組織化学染色法を用いて検討した。Pdx1の発現は,膵癌細胞の核内に局在し,16例中の15例に発現を認めた。核内染色の程度により3群に分類すると,強陽性3例,弱陽性12例,陰性1例であった。また,Pdx1陽性細胞の割合は,各症例において0~68.7%であり,Pdx1の発現強度と陽性細胞の割合によりScore化すると,Socre2以上が7例(44%),Score0,1が9例(56%)であった。Pdx1のScore2以上と,Score0,1の2群間で,年齢・性別・腫瘍径・腫瘍分化度などの臨床病理学的因子に差を認めなかったが,切除標本において膵癌細胞の一部にPdx1が発現していることが確認できた。またPrehminaryな結果ではあるが,膵癌細胞の一部でNeuroD1の発現も同定している。これら膵内分泌系分化マーカーの発現は,未分化な細胞の存在を示していると考えられ,膵癌の癌幹細胞のマーカーであるCD44, CD24と二重染色を行うことにより癌幹細胞に発現しているかを評価を行う。また,膵内分泌系分化マーカーの発現と抗癌剤感受性について評価するために,術前放射線化学療法を行った症例におけるPdx1など膵内分泌系転写因子の発現と抗腫瘍効果やin vitroで膵癌細胞株のGEM感受性と膵内分泌系マーカーの発現量の関係について検討を進める予定である。
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