研究課題
【研究計画・方法】平成22年度は、糖鎖改変膵がん細胞を用いたin vitroでのワクチン研究を行った。実験デザインとして、細胞表面にがん抗原・MUC1を発現するヒト膵癌細胞株PANC1にマウスα1, 3ガラクトース転移酵素遺伝子をlipofectionにて導入しα-gal MUC1を発現したα-gal PANC1細胞を樹立する。α1, 3GTノックアウトマウス(α1, 3GT K.O.mice)をブタ腎臓組織片にて免疫しhigh Anti-Gal K.O.miceとしヒトと同じ免疫状態とする。このhigh Anti-Galマウスに1×10^6個のα-gal-PANC1を用いて免疫し(α-gal group)、同様に1×10^6個の野生PANC1を用いて免疫したコントロール群と比し、Anti-PANC1抗体、Anti-MUC1抗体の産生をより強く誘導できるか、さらにPANC1、MUC1特異的CD8^+CTLをより多く誘導し抗腫瘍効果を引き出せるかをELISA、ELISPOTアッセイなどを用いて詳細に解析した。【結果】免疫誘導:ELISAによる解析ではα-gal groupのanti-PANC1 Abはcontrol groupに比し16倍強く誘導され、anti-MUC1 Abはα-gal groupのみ強く誘導された。ELISPOTによる解析では抗MUC1抗体産生B細胞はα-gal groupで有意に多く増殖し[number of anti-MUC1 spots : α-gal vs.control; 553.6±66.7 spots/10^6 splenocytes vs.319.5±18.9 spots/10^6 splenocytes.(P<0.0001)]。MUC1特異的CTLもα-gal groupsでは有意に強く誘導できた[number of IFN-γspots : α-gal vs.control ; 1358.9±334.3 vs.196.8±343(p<0.001)]。【結語】α-gal MUC1膵癌ワクチンは通常型ワクチンに比し強い抗腫瘍免疫誘導を引き出せることが実証された。来年度は、このワクチン投与によりin vivoでも抗腫瘍効果、生命予後延長効果を引き出せるかを解析する予定である。
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