研究課題
【研究目的】糖鎖改変膵がん細胞を用いたワクチン研究を行い、膵癌の癌幹細胞にも有効に抗がん作用を発揮できるかを検討した。【研究方法】細胞表面にがん抗原・MUC1を発現するヒト膵癌細胞株PANC1にマウスα1,3ガラクトース転移酵素遺伝子をlipofectionにて導入しα-gal MUC1を発現したα-gal PANC1細胞を樹立する。α1,3GTノックアウトマウス(α1,3GT K.O.mice)をブタ腎臓組織片にて免疫しhigh Anti-Gal K.O.miceとしヒトと同じ免疫状態とする。このhigh Anti-Galマウスに1×10^6個のα-gal-PANC1を用いて免疫し(α-gal group)、同様に1×10^6個の野生PANC1を用いて免疫したコントロール群と比し、膵癌の癌幹細胞とされるCD44+CD24+ESA+陽性膵がん細胞に対し抗体を産生しているかを免疫したマウス血清を用いたFACSにて解析した。さらにWestern blotを行い、糖鎖改変ワクチンにてMUC1など明らかな癌抗原に対する抗原だけでなく、膵癌細胞に含まれる未知の癌抗原に対しても抗体を産生しているか解析した。【結果】磁気ビーズを用いてCD44+CD24+ESA+陽性PANC1細胞を分離し、ワクチン化したKO miceの血清と反応させFACS解析した。α-gal groupの血清ではmean shift intensityで181.9と強い結合を認めたが、control groupでは10.3とほとんど有意な結合性を示さなかった。ウエスタンブロットではcontrol groupの血清では有意なバンドは認めなかったが、α-gal groupでは250KDa以上の高分子に対し抗体産生を認め、MUC1以外の癌抗原にも抗体産生を惹起していることが証明された。【結語】糖鎖改変膵がん細胞を用いたワクチンでは癌幹細胞に対しても抗体産生を誘導し、さらに未知の癌抗原にも抗体産生を惹起させ、膵癌根治を実現させる免疫療法であることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
これまで、研究計画に沿っておおむね順調に進んでいると考えられる。来年度はin vivoを中心にワクチンの有効性証明に全力を尽くす。
これまでの実験にて、糖鎖改変膵がん細胞を用いたワクチンはin vitroのデーター上、非常に有効であることが示唆された。来年度は、この抗腫瘍効果を実際の生体内(in vivo)においても有効に作用するかを検証する。
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