研究課題/領域番号 |
22591525
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石川 晋之 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (80419639)
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研究分担者 |
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20240905)
堀野 敬 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (60452900)
高森 啓史 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 講師 (90363514)
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キーワード | スタチン / 消化器癌 / コレステロール合成経路 |
研究概要 |
コレステロール合成経路と消化器癌との関連について研究を継続。ORP5を発現する膵臓癌は予後が悪く、そのメカニズムはORP5がコレステロール合成経路を活性化し、SREBP2の下流にHDAC5が存在し、それが最終的にPTENの発現を制御するという結論に至った。この結果は2010年のCancer Scienceに掲載された。 大腸癌との関連についても研究を開始。2000年から2004年までの大腸癌手術症例を詳細に検討してみたところ、高脂血症治療薬であるスタチン(上記の基礎研究でも使用した)を内服していない患者397名のうち、再発を68例(17.1%)に認めたが、スタチンを内服している患者41名では、再発は2例(4.8%)のみであった。また、大腸癌細胞株6種類について、simvastatinとlovostatinの2種類を5μMずつ投与し、growth assayを行なったところ、全ての癌細胞株で増殖抑制を認めた。細胞の死滅ではなく、増殖抑制と判断される結果であった。大腸癌の場合、増殖はWnt signalに負うことが多いため、今後はbeta-cateninやE-cadherinなどの発現や分布をスタチン投与の有無でICC (Immunocyto chemistry)を行なう予定である。さらに、術後症例を多施設で検討し、症例数を増やすことで、臨床病理学的な検討も加えていく予定である。 スタチンを内服することで再発率が下がるのなら、補助療法として高価な薬剤を使用する必要がなく、医療経済への貢献も可能となる可能性がある。
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