研究分担者 |
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (70237577)
新地 洋之 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60284874)
上野 真一 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (40322317)
前村 公成 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30398292)
又木 雄弘 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10444902)
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研究概要 |
本研究は,消化器癌のリンパ行性転移を促進するメカニズムの解明を目的としたものである 近年,リンパ管新生が消化器癌のリンパ行性転移強力に促進することが報告されてきた われわれは,まず70症例の膵癌のリンパ管新生を免疫染色により評価した.主病巣におけるリンパ管新生は腫瘍浸潤先進部に著明であり,新生リンパ管の増生は,所属リンパ節転移と有意に相関していた 次に,70例の膵癌症例の1432個の郭清リンパ節におけるリンパ管新生を評価した リンパ節転移の指摘に関しては,サイトケラチンによる免疫染色を加えて微小転移まで検出した.リンパ節における新生リンパ管は,非転移リンパ節に比べて,転移リンパ節では有意に増生していた.また,転移リンパ節内の新生リンパ管数はリンパ節転移巣の増大に伴って増加していた.更に,リンパ節転移を有する症例では,リンパ節転移を伴わない症例と比較して,非転移リンパ節におけるリンパ管新生も亢進していた 以上より以下のごとく考察される.1)膵癌の主病巣におけるリンパ管新生はリンパ行性転移を促進する.2)リンパ節におけるリンパ管新生はリンパ節転移形成前から起こっている.3)リンパ節に転移した癌細胞は転移巣の増大にともなって,そのリンパ節におけるリンパ管新生を更に促進する.主病巣およびリンパ節におけるリンパ管新生は,リンパ行性転移のメカニズム解明の中心的な役割を有すると考えられ,転移抑制治療開発に向けて,更に研究を続ける必要がある
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