研究課題/領域番号 |
22591527
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
斎藤 隆晴 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (60508795)
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研究分担者 |
斎藤 拓朗 福島県立医科大学, 医学部, 医監兼教授 (20305361)
佐藤 佳宏 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (60347218)
穴澤 貴行 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90566811)
伊勢 一哉 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90363746)
後藤 満一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50162160)
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キーワード | 細胞死 / HMGB-1 / 膵島移植 / マイトマイシンC |
研究概要 |
膵島を移植前にマイトマイシンCで処理することによって培養中の細胞死の抑制とともに、著明な生着延長が得られること、また、この細胞死はアポトーシスではなくネクローシスが主であり、さらに、細胞内にHMGB-1蛋白が表出していることを明らかにした。本研究はHMGB-1蛋白の制御により移植膵島の長期生着を可能にすることを目的としている。 本年度は、分離・培養された膵島に生じる障害領域を定量化する方法を確立した。大部分がネクローシスで占められるこの障害領域にはHMGB-1の表出が認められ、マイトマイシンC処理によりその障害が軽減されるが、その機序は、p53-p21waflの経路を含む機構を介して障害が軽減されることを、ウエスタンブロット法による生化学的検討により明らかした。この結果から、p21waflの細胞周期停止作用による代謝抑制が、培養によるストレスに対し防御的に働くという仮説を立てた。現在、ネクローシス阻害剤、アポトーシス阻害剤を用いた処理を膵島培養の際に行い、障害領域の軽減が得られるかどうかを確認し、さらにHMGB-1の表出、p53-p21wafl経路に関与する蛋白の同定・定量を行い、仮説を裏付けるデータの蓄積を行っている。仮説の裏付けがなされれば、培養中の細胞死抑制に関する新しい知見が得られ、今後の臨床応用への展開が期待されうる。 次年度は、抗HMGB-1抗体処理により移植生着延長効果が得られるかどうかを、ラット膵島を糖尿病マウスに移植する系を用いて確認する。延長が確認出来れば、細胞死により表出される蛋白が、移植片の生着を阻害していることが確認されることとなり、培養中の細胞死抑制が、膵島移埴の成功において重要な役割をもつことが明らかとなる。
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