研究概要 |
【目的】平成24年度は膵癌細胞株MIA-PaCa2に対する増殖抑制効果の観察と至適化作業、及び形態学的観察を行った。 【対象・方法】癌細胞増殖抑制効果の観察、ナノ粒子の濃度等の至適化、抑制効果を持つ粒子特性の選別を行なった。膵癌細胞株MIA-Paca2を用いて物理化学特性の異なるナノ粒子(Gly) (Shirotake et al.Chem.Parm.Bull.56(1):137-138,2008)とともに培養を行い、培養24時間後、48時間後、72時間後に癌細胞のミトコンドリア代謝活性をホルマザンの吸光度定量により測定し増殖抑制を観察した。本実験によりその至適濃度と培養時間を検討した。また、透過型顕微鏡を用いて癌細胞の形態学的観察も行った。 【結果】前年度の研究結果をもとに、今回はヒト膵癌細胞株のMIA-PaCa2の増殖速度を再確認後、物理化学特性の異なる上記アミノ酸重合粒子添加を行った結果、Glyで最も増殖抑制効果が得られ、72時間後に最大の増殖抑制効果を得ることが出来た。さらに、増殖抑制効果を得るのに必要なGly至適濃度はMTT assayから75μl/mlと推定された。 上記結果を踏まえて、さらにGlyによる癌細胞浸潤抑制効果を確認すべく、Invasion assayを施行した結果、Gly濃度 75μl/mlで浸潤抑制効果が得られた。 さらに、Gly添加によるMiapaca-2の形態学的観察を透過型顕微鏡を用いて観察。Gly無添加状態と比較して、Gly添加によりMiapaca-2の細胞変形、及び細胞の突起退化を推定される所見が観察された。 【考察】Glyによる癌細胞の形態学的変化が、増殖・浸潤抑制効果を反映しているものと推定されるが、アミノ酸抱合ナノ粒子の具体的な癌細胞増殖・浸潤抑制効果の解明が今後の課題と考える。
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