研究概要 |
徳島大学・香川小児病院・愛媛県立中央病院で心臓・大血管手術を行った遺伝性疾患を除く3ヶ月未満齢児(29.4±27.2,3-90日齢)を対象に本研究へのエントリーを行い、胸腺の全摘群(Group E)と温存・部分摘出群(Group P)に分類した。手術時より3年間の予定で、半年毎に、外来診察と全血・白血球分類・免疫細胞分画の推移と、術後3年時には麻疹・風疹抗体産生能とリンパ球刺激によるリンパ球機能検査を予定している。現時点で31例(TGA 9例、VSD 6例,TAPVC 4例,PTA 2例,IAA 2例,その他8例)が対象となっている。これら両群において、術後の臨床経過を解析したところ、感染症状による外来受診回数と入院回数ともに胸腺全摘群で増加傾向にあることがわかった。その主な診断としては、外来では急性気管支炎、入院では肺炎の頻度が高いことがわかった。血液検査では、白血球数・リンパ球数・全T細胞数、helper T細胞数、killer T細胞数、制御性T細胞数ともに、胸腺全摘群では著しい低下を示した。これら途中解析ではあるが、新生児期の胸腺全摘は、術後の患児における細胞性免疫機能発達に著しい影響を及ぼし、かつ術後易感染性の可能性が示唆される。今後、さらに解析を進めていき、新生児期の胸腺全摘が免疫能に与える影響について解析を行う予定である。
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