心房細動は最も罹患率の多い不整脈でありながら、その治療戦戦略はいまだ確立していない。今回我々は、対外循環を必要とする心血管領域手術を行った心房細動患者において発現が変化しているヒト心房筋のmicroRNAの同定およびイオンチャネル関連遺伝子の関与の実証を行った。 現在得られているヒト心房筋細胞は約350症例で、この中から、疾患、心機能、性別、年齢、内服その他の条件を考慮して選抜した心房細動患者10例、対照患者(洞性)11例の検体について、microNNAの網羅的解析を行った。その結果として、心房細動患者において低下しているmicroRNAを3個、増加しているmicroRNAを36個、候補として特定した。 さらに、RT-PCRを用いて、心房細動患者において変化しているイオンチャネルの発現変化も評価した。 これらのmicroRNAと、心房細動の成因に関与していると思われるイオンチャネルとの遺伝子配列の整合性も検討し、現在ある一つのmicroRNAのグループを治療標的となり得ると考えている。このmicroRNAを新生獣ラット心筋細胞に導入し、in vivoで得られた結果を、in vitroで検証中である。
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