研究課題/領域番号 |
22591549
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 伸一 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (90285130)
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研究分担者 |
益田 宗孝 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (10190365)
井元 清隆 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 教授 (40203335)
内田 敬二 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 准教授 (50275062)
横山 詩子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (70404994)
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キーワード | オーダーメイド医療 / 大動脈瘤 / 弾性繊維形成 |
研究概要 |
本研究では大動脈の瘤化や解離発生に関連する可能性が高い大動脈壁の弾性線維形成異常の機序を明らかにする。動脈瘤、大動脈解離などの血管疾患は弾性線維の異常に基づくことが、弾性線維の主な構成蛋白であるエラスチン欠損マウスの実験や遺伝子解析の結果より示唆されている。 分担研究者・横山は、野生型マウスの胎児期の血管である動脈管では隣接する大動脈や肺動脈主幹部に比べ、プロスタグランディンE受容体の1つであるEP4が特異的に発現し、かつ弾性線維の産生が著しく低下し、血管平滑筋の肥厚が認められることを発見した。また、EP4欠損マウスの動脈管では、大動脈や肺動脈と同程度の豊富な弾性線維産生が認められたことから、EP4シグナルは弾性線維産生を抑制的に制御し、血管の肥厚を誘導していると考えた。さらに、ヒト大動脈壁の数例の検討では、本来成人の大動脈には発現の少ないEP4受容体が病的に過大発現していることをすでに確認しており、これは大動脈瘤形成にEP4シグナルが関与しているという仮説を強く支持するものである。また本研究によりプロスタグランディンE受容体EP4シグナルにより弾性線維が制御される事が明らかになれば、すでに開発されているEP4のアンタゴニストが弾性線維の異常に起因する多岐にわたる疾患の治療薬として使用できる可能性が出てくる。これにより本研究は学術的意義のみならず臨床的にも非常に大きな意義をもつと考えられる。
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