研究概要 |
生分解性ポリマーを応用した組織工学による弁膜組織研究は,新岡らがポリマーと血管細胞の共培養複合体から,羊で肺動脈-弁を再生に成功しているが,当施設で行った「自己骨髄細胞と吸収性ポリマーを用いた再生医工学による肺動脈弁の開発と臨床応用」では、約6ヶ月の生存実験の結果,同手技では肺動脈組織の再生は困難で,移植弁膜組織は肥厚、硬化及び退縮していた.以上より生体内のみでの自己骨髄細胞,ポリマーからなる弁組織の再生は困難であり、バイオリアクターを用いた再生弁の生体内での作成を試みるのが当研究の目的である。すなわち、細胞播種した生分解性組織をバイオリアクターで生体内移植前に数週間in Vitroで培養することによって、培養細胞がポリマーの間隙を細胞と細胞外間質で満たし周囲で立体構築するとこから、物理的強度とポリマーへの細胞の固着が増強される。これにより、生分解性ポリマーが生体内吸収される時の強度低下による弁機能不全の防止と、弁機能を維持しながら弁構造構築の進行を同時にする事が可能であると考えられる。培養過程では、生体内と同環境でかつ弁組織に力学的負荷がかからない培養環境とする目的で拍動性バイオリアクターを用いるが、数週間ごとの培養組織の培養状況、強度、さらに生体移植後の弁組織を経時的に機能的、組織学的検査により評価を行い、自己組織からなる移植生体弁の生体の循環動態内での生理的変化、反応、また将来的な臨床応用の可能性を検討したい。現在の進行状況は実験動物としてビーグル犬の骨髄液を5-10ml採取し,フィコー留法にて単核球成分のみ採取して培養を行いstroma cellを誘導。生分解性ポリマー(一弁つきの肺動脈弁(10X 20mm)に細胞播種後、バイオリアクター内で約4週間、37℃の培養液による拍動流(圧、流量調整により)により培養を行っている。
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