研究概要 |
本研究は、血管型エーラス・ダンロス 症候群 (血管型EDS)の原因遺伝子であるCOL3A1変異の多くは,グリシンのミスセンス変異あるいはイントロン変異である.加えて,変異RNAが消失し,半量のCOL3A1で疾患が起きるナンセンス変異を同定した.本研究では血管型EDSの変異型に基づき,COL3A1変異アレルをRNAiにより発現抑制し,正常COL3A1の増加をRNA,蛋白,細胞レベルで解析,安全性も含め検討し,これまで治療法のない血管型EDSに対する治療の可能性について臨床応用に向けた基礎的研究成果を集積することを目的とした.最終年度となる平成24年度はこれまでの研究を基にCOL3A1各変異型・発症メカニズムごとに,血管型EDSに対する治療として評価できるよう検討を加えた.まず、変異産物が正常産物を阻害するdominant negative変異(グリシン 変異,イントロン変異)について、それぞれの変異タイプについて2つの変異についてmRNAに特異的なsiRNAを設計し検討した.イントロン変異では,挿入・欠失により起きる変異mRNA特異的配列を標的にsiRNAを設計し,変異RNAを特異的に減少し、様々な変異部位でのシュミレーションが可能となった.ナンセンス変異は,すでに変異RNAがmRNA decayにより消失し,半量のCOL3A1で発症するため(haploinsufficiency)、正常転写産物の増加を中心に検討した.正常COL3A1転写を増加する系(内在遺伝子の転写を活性化させる)としてLOX遺伝子発現ベクターを変異部位の異なるナンセンス変異線維芽細胞に導入し、COL3A1遺伝子増加効果を確認した.3)新規スプライシングを来すイントロン部位のCOL3A1変異を有する、線維芽細胞、変異遺伝子導入細胞にアンチセンスオリゴを加えたが、修復傾向はみられなかった。
|