研究課題/領域番号 |
22591556
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
山本 隆一 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (10094111)
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研究分担者 |
金井 祐 九州保健福祉大学, 薬学部, 助手 (20551295)
松尾 徳子 九州保健福祉大学, 薬学部, 助手 (30551296)
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キーワード | 血管グラフト / 糖尿病 / セロトニン / スパズム / ヒト伏在静脈 / インスリン / ミオシン軽鎖キナーゼ / ミオシン軽鎖脱リン酸化酵素 |
研究概要 |
冠動脈バイパス手術における血管グラフトのれん縮(スパズム)を増大するリスクファクターについて解明している。リスクファクターとしての病態では糖尿病を、そしてスパズム誘発因子として血小板由来のセロトニン(5-HT)に焦点を絞りこんでいる。心バイパス手術において、糖尿病患者の血管グラフトが術中および術後にスパズムを起こし易く予後を悪化させる可能性が高いとされるが、科学的な証明はなされていない。そこで、血管グラフトのスパズムを増大するリスクファクターの解明をおこない、特に糖尿病患者の心バイパス手術における手術成績向上のために、新たな血管れん縮予防薬の可能性を探っている。 平成23年および24年度に計画していた糖尿病患者の血管平滑筋細胞において変化している細胞内シグナル分子の同定では、糖尿病は明らかなリスクファクターであり、その血管収縮増大メカニズムとして新たに、(1)糖尿病患者の血管平滑筋でのセロトニンに対する血管収縮増大作用にインスリンのセロトニン受容体発現抑制作用が関係することを明らかとした。さらに、インスリンの血管弛緩作用をヒト血管を用いて詳細に検討し(2)糖尿病患者の血管平滑筋においては、通常備わっている血管収縮抑制システムの破たんが起こっていることを明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
冠動脈バイパス手術における血管グラフトのれん縮を増大するリスクファクターの解明に取り組んでいる。糖尿病は、明らかなリスクファクターであり、その血管収縮増大メカニズムとして新たに、(1)糖尿病患者の血管平滑筋でのセロトニンに対する血管収縮増大作用にインスリンのセロトニン受容体発現抑制作用が関係すること、又(2)糖尿病患者の血管平滑筋においては、通常備わっている血管収縮抑制システムの破たんが起こっていることなど、ヒト伏在静脈を用いて明らかにできた。これらの結果は、二つの論文にまとめ平成23年度中に国際雑誌に投稿し、すでに両者とも掲載・公表された。
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病患者の血管グラフトが、5-HTに対し強い血管収縮作用を現すことを見出し、その増大作用発現に血管平滑筋の収縮抑制に重要な役割を果たす細胞内シグナル分子:ミオシン軽鎖ホスファターゼ(MLCP)が糖尿病患者において有意に減少していることを証明した(Biochemical and Biophysical Research Communications 412(2011)323-327)。本年度の研究では、糖尿病患者におけるMLCPのタンパクレベル減少メカニズムをウエスタンブロットやリアルタイムPCR等を検討する。
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