研究課題/領域番号 |
22591558
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉田 成利 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (90334200)
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研究分担者 |
吉野 一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40281547)
溝渕 輝明 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50569861)
岩田 剛和 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30586681)
千代 雅子 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (30375688)
坂入 祐一 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (30551949)
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キーワード | 肺移植 / II型肺胞上皮細胞 / 再生医療 / 虚血再潅流傷害 / 死体ドナー肺 |
研究概要 |
昨年度はBASCs/AT-IIの分離培養技術を確立し、左肺全摘後ラットに分離したBASCs/AT-IIの経気管移入を行い、肺胞への生着を確認した。本年度は外科的切除肺から得られたヒト材料を用いてhAT-II細胞の機能解析およびhAT-II細胞の免疫不全ラットへの移入実験(いずれも倫理審査にて認可済み)を行い、傷害肺モデルの確立を行った。 1.切除肺正常亜区域肺から10^5~10^6オーダーの細胞が分離され、SP-Cによる蛍光染色や電子顕微鏡による特徴からその細胞の多くがhAT-IIであることを確認した。 2.分離培養したhAT-IIの多くは日数と共に減少することと、flow cytometryによりhAT-IIはhAT-I(type I aIveolar epithdial cell)に分化することを確認し、hAT-IIを傷害肺に投与することでhAT-Iに分化して肺胞が再生されうる可能性が示唆された。 3.hAT-IIを左肺全摘した免疫不全ラットのF344/NJcl-mu/muに気管内移入し、術後1ヶ月で犠牲死とする再生モデル肺を作成した。摘出標本からヒト特異抗体を用いた免疫染色およびRT-PCRを行い、ヒト細胞の存在を確認した。またヒトSP-CのRNAが存在する移入細胞の一部が肺胞壁を形成したことを確認した。 4.虚血再潅流傷害(IRI:ischemic reperfusion injury)を肺門部クランプモデルで行った。クランプ時間(温虚血時間)と再灌流から摘出までの時間を調節し、一定条件下での肺傷害を生きたドナーラットで引き起こすができ、死体肺も含めたマージナルなドナー肺モデルとしても再現性が高いと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラットAT-II、ヒトAT-IIにおける細胞レベルの実験は比較的順調に進行している。しかし、目的の一つであった死体肺移植モデルの作成・確立においては、東日本大震災や当大学動物実験施設内の手術機器整理の影響で、遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度末より動物実験施設の手術機器整備を行い、速やかに動物実験が再開できるように準備している。今後は作成したIRIモデルにAT-IIの移入を行い、生着・機能改善をまず評価する。IRI作成モデルから左肺を摘出し死体肺移植モデルを確立し、同種および異種のAT-IIを移入すること行い、ドナー肺の再生の可能性を追求する方針としている。
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