研究概要 |
1)近年、血管の研究が進み、血管新生抑制によるがんの増殖・転移を抑える治療が開発されてきている。しかしながら、リンパ管の研究は血管より遅れをとり、リンパ管新生抑制によるがんの増殖・転移(がんのリンパ行性転移)を抑える治療はまだ開発されていない。本研究の目的は、(1)腫瘍血管新生と比較して詳細が解明されていない腫瘍リンパ管新生に関与する分子機序を、条件的不死化リンパ管内皮細胞を使用したin vitroリンパ管新生評価系によって解明する、(2)siRNAや阻害剤を用いてリンパ管新生の動態を制御する方法の開発する、(3)独自の肺同所性移植リンパ節転移モデルを用いて、リンパ管新生阻害に基づく肺がんの新規分子標的治療戦略を構築することである。 2)本研究において我々は、リンパ管新生を制御する分子としてeNOSを同定した(eNOS and Hsp90 interaction directly correlates with the cord formation in human lymphatic endothelial cells. Lymphat. Res. Biol., 9:53-59,2011.)。さらに、カルパイン1はリンパ管新生の促進を、およびカルパイン2は抑制を制御していることも明らかとなった(Prangsaengtong O, Senda K, Doki Y, Park J-Y, Jo M, Sakurai H, Shibahara N, Saiki I, and Koizumi K.: Calpainl and-2 play opposite roles in cord formation of lymphatic endotherial cells via eNOS regulation. Human Cell, 2012.inpress)。これまでに、多くのinvitro血管新生評価系が報告されてきており、ケミカルライブラリーを本評価系に適応することで、すでに臨床で使用されている血管新生阻害剤が開発されてきている。本研究では、in vitroリンパ管新生評価系を用いて未だ探索されていないリンパ管新生阻害化合物を、eNOS、カルパイン1および2を比較対象として網羅的にスクリーニングする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンパ管新生を制御する分子としてeNOSを同定した(eNOS and Hsp90 interaction directly correlates with the cord formation in human lymphatic endothelial cells. Lymphat. Res. Bio1., 9:53-59, 2011,)。さらに、カルパイン1はリンパ管新生の促進を、およびカルパイン2は抑制を制御していることも明らかとなった (Prangsaengtong O, Senda K, Doki Y, Park J-Y, JoM, Sakurai H, Shibahara N, Saiki I, and Koizumi K. Calpain1 and-2 play opposite roles in cord formation of lymphatic endotherial cells via eNOS regulation. Human Ce11, 2012. inpress)
|