研究概要 |
研究目的(概要)※当概研究計画の目的について、簡潔にまとめて記述してください。 本研究の目的は、悪性中皮腫におけるmiRNA異常を解析し、1)悪性中皮腫の病態の解明、2)新しい治療法の開発を目指すことである。平成22年度は中皮腫においてmicroRNAアレイでメチル化による発現低下が確認されたmicroRNA34(miR-34a,b/c)が中皮腫細胞株、切除検体で高頻度にメチル化していることを発見した(細胞株100%,検体85%)、またmiR-34aのメチル化はは細胞株30%,検体30%であった。メチル化をおこしている細胞株に脱メチル化剤5-aza-2'-deoxycytidineで処理したところ、miR-34の発現が回復したことからmiR-34はメチル化により発現が抑制されていることが確認された。 メチル化の頻度が高かったmiR34-b/cについて検討を進めた。プラスミド発現ベクターを作成し、中皮腫細胞株に遺伝子導入を行い、中皮腫細胞株に対する効果を検討した。miR-34b/cのステーブルクローン株を3つの中皮腫細胞株(H28,H290,H2052)で作成した。miR-34b/cステーブルクローン株ではいずれもcontrol stable clone株と比較し著明な抗腫瘍効果を認めた(コロニー形成能アッセイ法)。ウエスタンプロッティング法による蛋白発現の検討では、miR-34b/cの標的分子である、Met,E2F3,Cyclin E2,CDKなどの蛋白がmiR-34b/cステーブルクローン株で抑制されていた。次に、ボイデンチャンバーアッセイ法により遊走能、浸潤能を、Time lapseビデオ撮影による運動能を検討した。同様にmiR-34b/cステーブルクローン株では、明らかな遊走能、浸潤能、運動能(H290株以外)の低下を認めた。以上の結果より、miR-34b/cが中皮腫の癌化において重要な役割を担っていることが強く示唆された。
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