研究概要 |
【方針】 扁平上皮癌症例を対象としてEMT関連遺伝子(Activin, podoplanin, PAI-1, N-cadherin, Vimentin)をRT-PCR法にて解析する 。 【対象】 当科における手術症例の中でDNAサンプルが使用可能な68症例。 【方法】 Light Cycler 480II(Roche)を使用しRT-PCRを施行し、病理学的因子(T因子、N因子、胸膜浸潤、腫瘍内リンパ管浸潤、腫瘍内血管浸潤、分化度)との関連性を解析する。 【結果】E-cadherin発現は病期の進行に従って低値を示す傾向が認められたが、Sip-1発現はいずれの因子とも相関関係を認めなかった。従って、他のE-cadherin転写抑制遺伝子(Twist, Snail)の解析を行った。結果、肺扁平上皮癌において、Twistは病理学的T因子と正の相関を認め、胸膜浸潤例に有意に高い発現を示した。また他のEMT関連遺伝子(N-cadherin, Vimentin, PAI-1, Podoplanin, Activin等)を解析した。その結果、Activin, Podoplanin, PAI-1のmRNA発現と病理学的T因子との間にそれぞれ相関を認めた。さらにActivin及びPAI-1のmRNA発現と胸膜浸潤の有無にも相関を認めた。N-cadherinは腫瘍内リンパ管浸潤例に有意に高い発現を示した。結果、肺扁平上皮癌において、 ① Activin,Podoplanin,PAI-1の各間葉系マーカーは病理学的T因子と正の相関を認めた。 ② Activin,PAI-1は胸膜浸潤例に有意に高い発現を示した。 ③ N-cadherinは腫瘍内リンパ管浸潤例に有意に高い発現を示した。
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