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2011 年度 実績報告書

原発性肺腺癌の早期診断・治療標的の開発をめざした戦略的プロテオーム解析

研究課題

研究課題/領域番号 22591573
研究機関大阪市立大学

研究代表者

西山 典利  大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90438226)

研究分担者 梯 アンナ  大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60382222)
キーワードプロテオーム / 癌 / トランスレーショナルリサーチ
研究概要

肺癌は悪性腫瘍の中でも悪性度の高い腫瘍として知られ、多くの先進諸国で癌死の中でもっとも頻度の高い腫瘍になっている。診断方法や治療方法に進歩はあるものの、現在の集学的治療を含む治療方針では死亡率の劇的な低下は望みにくい状況である。死亡率の低下には早期発見および個別化治療に代表される新しい治療戦略が必要であるとされ、そのためのバイオマーカーの開発が切望されている。今回我々は、肺癌の診療に有用なバイオマーカーを探索するため、ヒト肺腺癌組織を用いてプロテオーム解析による網羅的なタンパク質発現解析をおこなった。当院で手術を施行した原発性肺線癌症例12例の癌部および非癌部の凍結標本にiTRAQ試薬を用いて癌部及び非癌部組織を比較定量しつつLS-MS/MS解析を行った。その結果、高頻度に、また非癌部と比較して癌部に高発現しているタンパク質をいくつか認められた。その中で主な発現部位が細胞外腔であるタンパク質に注目、そのうちのAnterior gradient 2 homolog(AGR2)が新規バイオマーカー候補として選出された。AGR2に特異的な抗体を用いて原発性肺腺癌組織268例に免疫染色を行ったところ94%で陽性となった。免疫染色でのAGR2の発現強度と各種臨床パラメーターとの統計解析を行ったところ、カプラン・マイヤー法を用いた生存解析で独立した予後予測因子となることが判明した。また、原発性肺腺癌組織111例の血清ARG2濃度をELISA法を用いて測定し、同様に臨床パラメーターとの統計解析を行ったところ、カプラン・マイヤー法を用いた生存解析で予後予測因子となることが判明した。以上より、AGR2は臨床診療上有用な肺腺癌マーカーとなりうることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

肺腺癌のプロテオミクス解析の結果から候補蛋白を同定し、臨床診療上有用な肺腺癌マーカーとなりうる蛋白AGR2を発見するにいたった。AGR2の血清濃度が予後予測因子となることが示され、臨床への実用化も検討可能なものと考えられた。以上より、当初の研究目標であった肺腺癌の新たなバイオマーカーの同定に近い結果を得ることができたと評価する。今後はAGR2の機能解析を行い、個別化治療に代表される新しい治療戦略の一助となるか検討する。

今後の研究の推進方策

ヒト肺腺癌細胞株よりウエスタンブロットにてAGR2蛋白を発現している細胞株を選出し、siRNAを用いてこの蛋白の発現をノックダウンすることによりこの蛋白の機能解析をおこなう。
また、肺腺癌のプロテオーム解析によりAGR2蛋白以外に肺腺癌のバイオマーカー候補を選出し、同様に臨床診療上有用な肺腺癌マーカーとなりうるかを評価する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] AGR2 as a novel useful biomarker of human lung adenocarcinoma2011

    • 著者名/発表者名
      丁奎光
    • 学会等名
      IASLC 14th World conference on lung cancer
    • 発表場所
      msterdam Rai, The Netherland
    • 年月日
      2011-07-05

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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