Poly-vinyl alcohol (PVA)を接着媒体とした国産電気式離脱型コイルのノウハウを活かし、より精度の高い頭蓋内ステント併用脳動脈瘤血管内治療に応用できる電気式離脱型頭蓋内ステントの開発研究を行った。これまでの実験で、複数本のストラットをPVAで接続する方法では、PVA溶解の不均一性が理由で、離脱後にステントが完全拡張しない事象が一定の頻度で出現することが判明したため、ストラットを一本に収束してPVAで接続するステントデザインを考案し、新たな開発研究を行った。 PVAの固定力は複数回のステント展開・回収に耐え得る強度を有し、複数本のストラットを接続する方法より製造工程が単純であるため、実用化に適した構造であることが判明した。しかし、ストラットを一本に収束するステントデザインは、直線的な血管に対する密着性に問題はないものの、蛇行血管に留置した場合にステント近位端の密着不良が原因で血栓塞栓性合併症の可能性が考えられた。この問題を解決するために、ストラットを一本に収束するデザインの改良が必要となり、理想的には短い距離でストラットを収束させながら、マイクロカテーテル内を円滑に誘導でき、目的部位に容易に展開しながら留置部位の微調整を行い、必要であれば抵抗なくマイクロカテーテル内に回収して再度誘導を行うことができる、全長に渡り血管壁に良好に密着するステントデザインの開発である。取り分け屈曲蛇行した血管内でも、均一に展開して血管壁に密着する構造を解析である。
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