b-seriesのガングリオシドは神経突起の伸展を促進することにより、神経再生に重要な役割を果たしているといわれており、細胞治療のメカニズムとして有力である。ガングリオシドは脳や皮膚において含有量が多く、われわれの研究成果でも、その生合成は胎生期に活性が強いことが判明している。なかでもGD3はラット胎児の脳において、速やかにb-seriesのガングリオシドに変換され、神経の再生に関与することが推測されている。従って、本研究では、GD3などのb-seriesのガングリオシドが、脳梗塞に対する細胞治療における神経再生において、再生促進に関与している可能性を検証するとともに、細胞治療の治療効果を向上させるターゲット分子となりうるかどうかも併せて検討することを主目的とする。 当該年度は、脳梗塞巣におけるガングリオシド発現の解析を行った。具体的には、中大脳動脈永久閉塞モデルを作成後、梗塞部位を摘出し、アセトン抽出にてガングリオシドを抽出。カラムクロマトグラフィーを用いて分離後、ガスクロマトグラフィーとHTLCにてガングリオシドを同定した。今後は、細胞治療における脳梗塞巣のガングリオシド発現を比較解析する予定である。
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