当センター病理部に保存されている内頸動脈内膜剥離術病理標本および新規手術標本を検索し、11症例について解析した。背景因子として各症例の基礎疾患、手術前の内服薬について診療記録より抽出した。病理標本より免疫組織染色用の切片を作成した。不安定プラークの特徴を明らかにするため、酸化型LDLレセプターの標識用に抗CD36抗体を用いマクロファージ標識用の抗CD68抗体とともに免疫二重染色を行った。まず、新鮮凍結切片を用いて各社の抗CD36抗体についてその性能を評価した。次に、適正と考えられた抗体を用いて、より安定した結果を得られるパラフィン包埋切片に対して免疫組織染色を行った。結果は光学顕微鏡にて確認した。現在までのところ、CD36抗原は一部の抗CD68抗体陽性マクロファージや線維芽細胞様細胞で発現していることが確認できた。術前内服薬との関連を調べたところ、スタチン製剤内服は抗CD68抗体陽性マクロファージにおけるCD36発現量の減少に関連し、アスピリン内服は線維芽細胞様細胞におけるCD36発現の減少に関連していることが示唆された。さらに、喫煙歴と抗CD68抗体陽性マクロファージにおけるCD36発現量の増加との関連も認められた。今回の結果から、CD36抗原の発現と動脈硬化のリスクや動脈硬化の治療との間に関連があることが分かった。次年度にむけて、対象症例数を増やして今回の結果の確認を行う必要性が確認できた。さらに、酸化ストレスや炎症反応関連蛋白の発現についても調査必要なことが確認できた。
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