研究概要 |
今年度は悪性腫瘍細胞の野生株およびテモゾロミド(TMZ)耐性株において三重標識組織放射能測定法(anti-^<14>C-FACBC,^3H-メチオニンあるいは^3H-TdR,^<99m>Tc-DTPA)を用いてTMZの治療効果を判定し,anti-^<14>C-FACBCによる治療効果判定の妥当性について^3H-メチオニンおよび^3H-TdRと比較検討した.ラットグリオーマ由来のC6におけるTMZ耐性腫瘍細胞株はnon-essential amino acids (NEAA),10%牛胎児血清および1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むminimum-essential medium (MEM)培地に25μMのTMZを添加して30回以上継代培養することにより樹立された.C6におけるTMZ耐性獲得はMTT assayで評価し,耐性株のsurviving fractionは各野生株と比較して有意に増加した(p<0.01).C6の野生株はTMZを100μMの最終濃度で作用させた後のanti-^<14>C-FACBC,^3H-メチオニンおよび^3H-TdRの集積量は2日後までは不変であったが,3日後にTMZ投与前と比較して有意に低下した(p<0.01).一方,C6のTMZ耐性株は野生株と比較してanti-^<14>C-FACBC,^3H-メチオニンおよび^3H-TdRの集積量が高値を示し,TMZを100μMの最終濃度で3日間作用させた後も各トレーサの集積に変化はみられなかった.いずれの細胞株においてもanti-^<14>C-FACBC,^3H-メチオニンおよび^3H-TdRの集積は有意な相関を認め,anti-^<18>F-FACBCは^<11>C-メチオニンと同様に悪性グリオーマにおける診断および治療効果判定に有用なトレーサとして期待される.
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