研究概要 |
今年度はラット可移植性腫瘍(C6)の野生株およびテモゾロミド耐性細胞株(C6R)を左右のラット大脳基底核に各々接種し,脳腫瘍モデルを作成し,移植後5-7日目にTMZ治療を行い,9日目にMRI(T2強調画像,造影後T1強調画像)を行った.さらに10日目にanti-1-amino-3-fluorocyclobutane-1-carboxylic acid(anti^<-14>C-FACBC)および^3H-メチオニンによる二重標識オートラジオグラフィー法でアミノ酸代謝の面から解析し,HE染色で組織所見と対比し,隣接切片でMIB-5indexを算出して腫瘍増殖能を定量評価し,無治療群と各治療群で比較検討した. Anti^<-14>C-FACBCの組織移行率(DAR)画像および^3H-メチオニンのDARと酸不溶性分画(AIF)画像でトレーサはMRIの増強域およびT2高信号域よりも広範囲に集積し,いずれの細胞株も腫:瘍進展範囲が明瞭に描出された.MRIで早期の治療効果判定は困難であったが,テモゾロミド治療後にanti^<-14>C-FACBCと^3H-メチオニンの集積量および増殖能は野生株で有意に低下し(p<0.01),耐性株では変化せず,テモゾロミドの治療効果が鋭敏に検出された.Anti^<-18>F-FACBCはグリオーマの局在診断および治療効果判定に有用なPBT診断用トレーサとして臨床応用が期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞ではいずれの細胞株もanti^<-14>C-FACBCと^3H-メチオニンの集積および増殖能は密接に相関し,移植脳腫瘍ではいずれのアミノ酸トレーサも腫瘍の進展範囲が明瞭に描出された.培養細胞および移植脳腫瘍のいずれにおいてもテモゾロミド投与後に野生株ではアミノ酸トレーサの集積と増殖能は有意に低下し,テモゾロミド耐性株では変化せず,治療効果を的確に反映しており,anti^<-14>C-FACBCと^3H-メチオニンは同等であることが判明し,研究は予定通りに遂行されている
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今後の研究の推進方策 |
今後はテモゾロミド単独およびIFN-βあるいは抗血管新生療法(bevacizumab)との併用投与の治療効果を評価するためにヒト悪性脳腫瘍細胞を移植したラット脳腫瘍モデルを作成する.移植脳腫瘍モデルに対する治療効果については14日目にanti^-<14>C-FACBCおよび^3H-メチオニンによる二重標識オートラジオグラフィー法でアミノ酸代謝の面から解析し,HE染色で腫瘍体積を算出し,MIB-1 indexで腫瘍増殖能を定量評価し,無治療群と各治療群で比較検討する.
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