研究概要 |
今年度はヒト膠芽腫細胞(U87)におけるTMZ耐性株(U87R)を樹立し,耐性獲得はMTT assayで評価した.テモゾロミド(TMZ),インターフェロンβ IFN)あるいはbevacizumab (BV)治療効果は三重標識組織放射能測定法でC-14 trans-1-amino-3- fluorocyclobutane-l-carboxylic acid (C-14 anti-FACBC)およびH-3 メチオニン集積量と増殖能を定量した.アミノ酸トレーサ集積量と増殖能はTMZ単独添加後に野生株で無治療群と比較して有意に低下したが,耐性株では低下が軽度で,いずれもIFN併用によりさらに低下したが,BV追加投与の効果はなかった. 移植脳腫瘍は野生株と耐性株を左右のヌードラット大脳基底核に各々接種し,TMZ,BV単独およびTMZ,IFN,BV併用療法後にMRI(T2WI,造影T1WI)を行った.さらに二重標識オートラジオグラフィー法でC-14 anti-FACBCおよびH-3 メチオニン画像を作成し,BBBの透過性はEvans blueで評価し,組織所見と対比し,各画像の定量解析を行い,隣接切片でMIB-1 indexを算出して増殖能を評価した.MRIで耐性株は増強効果およびEvans blueの染色性に乏しく,野生株はBV投与によりT2高信号域,増強域は縮小し,Evans blueの染色性も低下したが,アミノ酸トレーサは腫瘍浸潤域に一致して増強域よりも広範に集積し,MRIによる局在診断と効果判定は困難であった.各アミノ酸トレーサの集積量は耐性株では野生株と比較してTMZ投与による低下が軽度で,腫瘍部と健常灰白質の比(T/NT)および増殖能は野生株ではTMZ投与で有意に低下し,耐性株ではTMZ,IFN併用群で有意に低下し,BV追加投与によりさらに低下して治療効果を的確に反映した.
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