研究課題/領域番号 |
22591608
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
齋藤 洋一 大阪大学, 産学連携本部, 特任教授 (20252661)
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研究分担者 |
関野 正樹 東京大学, 工学研究科, 准教授 (20401036)
木下 学 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40448064)
細見 晃一 大阪大学, 産学連携本部, 特任助教 (70533800)
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キーワード | 脳神経 / 経頭蓋磁気刺激 / 脳血流 / 神経科学 / 再生医療 |
研究概要 |
反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)は難治性疼痛患者において、原因が明確ではないが、約50%で除痛効果が得られる。また過去のrTMS実績より、若年者のほうが高齢者よりも有効性が高い。また、白人と黄色人種でも運動誘発閾値が、ずいぶん異なることが報告されている。これらの事実は、頭皮の厚み、脳萎縮との関連が示唆される。つまり頭皮上に固定した8の字コイルと大脳との間に介在する頭皮、頭蓋骨、硬膜、髄液腔の大きさが、有効性の差となっている可能性がある。 当初、ラット脳を使って、rTMSシミュレーションすることを念頭においていたが、ラット脳における頭皮、頭蓋骨、硬膜、髄液腔の個体差はあまり存在しないことが、MRI撮影より明らかとなった。 よって、ヒトでのMRI thin slice連続撮影から得られたデータを解析し、大脳一次運動野皮質、および、一次運動野皮質下白質へのrTMSによる誘起電流値を計算するシステムを構築する方向で検討している。具体的には頭蓋骨は電気抵抗が大きいので、誘起電流は脳内で閉じた経路で流れる。したがって頭皮、頭蓋骨、硬膜はまとめて絶縁体として近似できる。MRI撮影から画像処理して、脳、髄液腔、その他の絶縁体に分けて、3次元のシミュレーションシステムを作成しているところである。若干の予備実験としてラット脳でのrTMSシミューレーション実験も行う準備をしている。 このrTMSシミューレーションが完成すれば、これまでrTMSを施行してみないと有効性が判定できなかったが、今後は、より高い確率で、rTMS有効性を占うことができるようになると考えられ、また、運動誘発電位でしか、刺激強度を測定できなかったのが、脳内での誘起電流を想定できるようになると考えられ、非常に重要なシステム構築となると考えている。
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