研究課題/領域番号 |
22591609
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坪井 昭博 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (10372608)
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研究分担者 |
橋本 直哉 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90315945)
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キーワード | 腫瘍免疫療法 / WT1 / 悪性神経膠種 / ペプチドワクチン / ヘルパーペプチド / 化学療法併用 / テモゾロミド |
研究概要 |
腫瘍細胞で高発現しているWT1を標的とした癌特異的免疫療法の開発を行っている。 再発悪性神経膠腫を対象としてWT1ペプチド(WT1 CTLペプチド)を用いた癌免疫療法を行い、高い病勢コントロール率と一部の症例で著効(長期無再発生存)を示した。そこで適応拡大ならびに効果増強のため悪性神経膠腫に対し2つの新規臨床研究を計画した。1.初発悪性神経膠腫に対するテモゾロミド併用WT1ペプチドワクチン療法と、2,再発悪性神経膠腫を対象としたWT1ヘルパーペプチドとWT1 CTLペプチド併用療法である。 研究成果: 1.初発悪性神経膠腫に対するテモゾロミド併用WT1ペプチドワクチン療法(第I相) 現在まで目標症例数である6例の患者が臨床試験に参加し完遂した。1例は再発認めたが残りの5例については平成24年3月時点でそれぞれ治療開始後24ヵ月、21ヶ月、20ヶ月、18ヶ月、12か月の経過観察を行っている。いずれも有害事象を認めていない。効果については6例中5例で無再発生存を維持している。悪性神経膠腫は進行が早くきわめて予後不良な疾患であるが、テモゾロミド併用WT1ペプチドワクチン療法は有望な治療になりうることを示唆するデータが得られたと考える。今後第II相試験でテモゾロミド単独維持療法とのランダム試験を行い有用性について明らかにする予定である。 2.再発悪性神経膠腫を対象としたWT1ヘルパーペプチドとWT1 CTLペプチド併用療法(第I相) 現在まで9例の患者が臨床試験に参加した。いずれも有害事象を認めていない。9例中6例で3カ月時点の評価で病勢安定化効果が得られた。再発悪性膠腫に対し有望な治療法になることを示唆するデータが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
WT1ペプチドワクチンの効果を増強させる試みとして、抗がん剤(テモゾロミド)を併用するものと、WT1ヘルパーペプチドを併用するものの二つの第I相臨床試験を行ったが、両臨床試験とも目標症例数を達成し、安全性の確認の確認が取れた。また効果についても期待できる結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
第I相臨床試験の結果を受け、第II相臨床試験の準備を進めている。 以下を目的とし平成24年度中の開始を予定している。 1.初発悪性神経膠腫についてはテモゾロミド単独維持療法とのランダム試験を行い有用性について明らかにする。 2.再発悪性神経膠腫については症例数を増やした第II相試験にて有用性について明らかにする。
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