研究課題
悪性神経膠腫(glioma)における新規抗EGFRモノクローナル抗体であるnimotuzumab(Nimo)の治療的効果を検証するため、以下の実験を行った。1)in vitroでのnimotuzumab(Nimo)の抗EGFR活性を評価する目的で、EGFRを高発現するヒトglioma細胞株、特にwild type(wt)EGFR及びmutant EGFR(△EGFR、あるいはEGFRvIII)を強制発現する細胞株の中で、良好なtumorigenicityを示すU87MG系細胞株とLNZ308系細胞株を使用した。2)U87MG△EGFRおよびU87MGwtEGFR細胞をNimo 1μMで治療した。治療24時間後から、EGFRvIII,wtEGFRともにそのリン酸化は減少がみられ、72時間後に至るまで経時的にその効果は増強した。一方、対照として使用したEGFRのkinase inhibitorであるAG1478による治療では、Nimoと比較してより強力に24時間後からEGFRのリン酸化阻害が認められた。3)リン酸化の抑制効果が最大となる72時間治療を用いて、次にNimoのdoseによるEGFRリン酸化抑制度を検討した。EGFRvIIIに対してはNimo 0.25μMからtyrosineのリン酸化の抑制がみられ、4μMとほぼ同程度であった。この脱リン酸化効果は主たるEGFRのC-terminal tail上のtyrosine残基であるTyr 1068およびTyr 1173の両方について同様の結果が認められた。一方、wtEGFRに対しては、Nimo 0.25μMの抑制効果は微弱で、1μM以上で特にTyr 1173に強くリン酸化の抑制が認められた。4)EGFRのリン酸化阻害により、EGFRシグナル経路上の下流の主たる因子に影響が認められることを検証するため、次にoncogenic signalのkey moleculeと考えられているAktのリン酸化を検索した。Nimo治療によりU87MG△EGFR細胞ではAktの活性化にかかわるリン酸化(Thr 308およびSer 473)の減少が認められ、この効果はNimo 0.25μMから認められた。一方、U87MGwtEGFRではこの効果は明らかではなかった。5)現在、in vivoにおけるNimoの抗腫瘍効果を検討中である。
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