研究課題/領域番号 |
22591619
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
吉田 一成 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (70166940)
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研究分担者 |
佐々木 光 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70245512)
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キーワード | 神経膠腫 / 個別化治療 / 術前化学療法 / neoadjuvant chemotherapy / 1p/19q / MGMT |
研究概要 |
1)神経膠腫における分子生物学的分類と個別化治療の確立:CGH法による染色体解析、MGMT免疫染色、MGMTメチル化検索、IDH1遺伝子の変異解析を、全神経膠腫症例に対してprospectiveに日常的に継続した。また、その結果としていくつかの論文報告を行った(業績欄参照)。 2)化学療法反応性の神経膠腫に対するneoadjuvant approachの有用性検証:当施設では、化学療法反応性が示唆されたgrade2-3の神経膠腫(1p/19q欠失、MGMT低発現など)に対しては、摘出術後、組織型に関わらず化学療法先行で治療を行い、術後残存腫瘍がある場合(生検/部分摘出例)は縮小させた後の治癒切除(second look removal)を行う治療方針である。現在までに23例がこの方針で治療され、PDは1例もなかった。また、当初、不完全手術が行われたが、化学療法後に根治的切除が可能となった症例は11例になる。同方針の安全性と有用性についていくつかの学会報告を行った(業績欄参照)。 3)画像所見と分子生物学的予後因子の相関について(画像所見からの術前化学療法の適応確認):CT,MRIにおける画像上の特徴と神経膠腫における分子生物学的予後因子を対比検討した結果、ある2つの画像上の特徴の組み合わせが1p/19q欠失と約90%の腫瘍において一致することが示された。学会報告を行い、論文準備中である。 4)1p/19q欠失、MGMTメチル化、IDH1変異の腫瘍内均質性の検討:生検術などにおけるsampling errorを避けるため、個別化治療の基盤となる分類は、腫瘍内どこからでも均一な情報が得られる因子に拠ることが望ましい。lazer-capture microdissection(LCM)法によりDNAを抽出し、MGMTメチル化検索を行う手法をほぼ確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
neoadjuvant approachの有用性検証に関して、未だ論文投稿がなされていない。予後因子の腫瘍内均質性の検討に関しては、研究手法はほぼ確立されたものの、研究結果はこれからである。
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今後の研究の推進方策 |
化学療法反応性の神経膠腫に対するneoadjuvant approachの有用性検証、画像所見と分子生物学的予後因子の相関の検討に関して、論文を投稿する。予後因子の腫瘍内均質性の検討に関しては、具体的研究を進める。
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