研究概要 |
1) 神経膠腫における分子生物学的分類と個別化治療の確立:CGH法による染色体解析、MGMTメチル化検索、IDH1遺伝 子の変異解析を、 全神経膠腫症例に対して日常的に継続し、いくつかの論文報告を行った(業績参照)。 2) 化学療法反応性の神経膠腫に対するneoadjuvant approachの有用性検証:当施設では、化学療法反応性が示唆されたgrade 2-3の 神 経膠腫(1p/19q 欠失、MGMT低発現など)に対しては、摘出術後、組織型に関わらず化学療法先行で治療を行い、術後残存腫瘍があ る場 合(生検/部分摘出例)は縮小させた後の治癒切除(second look removal)を行う治療方針である。同方針が継続され、現在までに22例が この方針 で治療され、second look removalは13例で行われた 。同方針の安全性と有用性についていくつかの学会で報告した(業績参 照)。 3) 画像所見と分子生物学的予後因子の相関について(画像所見からの術前化学療法の適応確認):CT, MRIにおける画像上の特徴と 神経 膠腫における分子生物学的予後因子を対比検討した結果、ある2つの画像上の特徴の組み合わせが1p/19q 欠失と約90%の腫瘍にお いて 一致することが示された。論文を投稿中である。 4)1p/19q 欠失、MGMTメチル化、IDH1変異の腫瘍内均質性の検討:lazer-capture microdissection (LCM)法 により10個程度の細胞から DNAを抽出し、MGMTメチル化検索を行う手法を確認中である。
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